風景と地域づくりの
出会いと発見DIARY
景観研究室は、プロジェクトや研究を通じて、九州各地の風景・地域づくりに取り組んでいます。地域の人達と未来を語り合う、デザインについて現場で喧々諤々議論する、素敵な風景や食文化を見つける、地域の人達との長いお付き合いが始まる…風景・地域づくりの中で、たくさんの出会いや発見、感動が生まれる毎日。そんな景観研究室の日常をお伝えしていきます。
April 4, 2013
水産埠頭線の設計経緯

カテゴリ【唐津(水産埠頭線)】では、平成24年度から平成25年度にかけて唐津の東港と西港をつなぐために行われる水産埠頭線の記事についてまとめています。以下の記事は平成24年度に行われたものです。
唐津東港で進んでいるみなとまちづくりの流れの中で、東港の市民活動拠点である二タ子三丁目倉庫(旧玄海ヤンマー唐津営業所)と西港の新セリ場(懇話会デザイン専門家会議で設計案を作成したベンガラ色にアラが描かれた県営施設)とをつなぐ延長約100mの新道路の工事が平成24年度に始まりました。ここでは、このプロジェクトの顛末をご紹介します。

工事着手前の現地の様子です。手前が二タ子三丁目倉庫、奥に新セリ場があるのですが、資材置き場になっているため見えません。

みなとまちづくり懇話会付設のデザイン専門家会議での議論風景。九大が以前作成した全体模型を囲んで,水産埠頭線と東港全体との関係性、大島にお住まいの方々の歩行者動線とのかねあい、今後の景観づくりとの整合性等々について何回も熱の入った議論が行われました。

April 4, 2013
デザイン専門家会議での設計案検討

佐賀県から提案された当初案。車両を中心とした一般的な道路に近く、また、この写真では右側にある九電火力発電所から続く水辺の軸線(唐津城軸と呼んでいます)から外れて下に折れた線形になっています。

デザイン専門家会議での議論が書き込まれたスケッチ。

委員の一人、高橋さんが描いてくださったイメージスケッチです。
デザイン専門家会議での時間をかけた議論を受けて、佐賀県と交渉をおこなった結果、唐津城軸をまっすぐ通した線形とすること、自動車用道路+歩道という構造をとるがデザインの工夫によって歩行者が主役の街路として整備すること等が合意されました。これを受けてデザイン専門家会議案が懇話会で了承され、九大景観研で基本設計を行うことになりました。

April 4, 2013
水産埠頭線の基本設計図

標準断面です。一般的な車道の両側ではなく中央に雨水排水溝を配置しています。これは、側溝の存在が歩車道の境界として見えることを嫌ったのと、そしていかにも車道的なかまぼこ型の断面を嫌ったためです。
歩道部は、海辺の既存プロムナードと同じレンガ舗装にし、車道部は、技術的にはチャレンジでしたが大振りな玉石洗い出し舗装としています。玉石は唐津の海岸の砂と同じ錆び石を用いています。アクセントとして雨水排水溝の上と歩車道境界にピンコロ石を配置し、さらに道路軸方向にピンコロ石のボーダーを設けています。

同じく平面図です。今回施工する歩道の幅員は3.5mですが、将来的には20mまで拡幅し、東港エリアのメインの歩行者軸になる予定です。

設計の作業は樋口准教授指導のもと研究室の学生全員で行いました。この写真は、学生が描いた図面に樋口先生が修正点を書き込んだものです。サイズの決まっているレンガ、ピンコロ石を施工範囲の中でどううまくの割り付けるかで一番苦労したようです。
こうしたキャッチボールが約一週間の間に何回も続きました。

April 4, 2013
水産埠頭線施工1 基礎工

 

年が改まって1月、いよいよ工事開始です。まず工事区間の伐開、さらの地下埋設物の撤去が行われました。

道路中央に配置する排水溝の基礎工事です。

排水スリット部分の設置工程。ピンコロ石を載せる分基盤までの長さが長いものを使用します。

車道部分路盤工敷き均し。

路盤コンクリートの打設。厚さ15センチあります。これだけで車道として十分な強度がありますが、この上にさらに玉石洗い出しの層を打ち重ねます。

April 4, 2013
水産埠頭線施工2 ピンコロ石舗装

 

これはピンコロ石のボーダーが乗る部分の配筋作業です。

打設完了。きれいです。

続いて歩道部分の基礎コンクリートの打設です。

ピンコロ石ボーダーの据付け作業です。ドライモルタルの上に一つ一つ石を据えていきます。

最後に目地に詰めたモルタルの残りを洗浄して完成です。

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