風景と地域づくりの
出会いと発見DIARY
景観研究室は、プロジェクトや研究を通じて、九州各地の風景・地域づくりに取り組んでいます。地域の人達と未来を語り合う、デザインについて現場で喧々諤々議論する、素敵な風景や食文化を見つける、地域の人達との長いお付き合いが始まる…風景・地域づくりの中で、たくさんの出会いや発見、感動が生まれる毎日。そんな景観研究室の日常をお伝えしていきます。
October 20, 2009
サンドイッチボードウォーク【USA/筒井】


18日は雨でしたがナンタケットからボストンに向かう途中にちょっと寄り道をしてもらいました。
このボードウォークは整備費をインターネットのホームページ上で世界から募り、代わりにその出資者のメッセージを床板に彫刻する取り組みをしています。唐津にできた木橋のモデルにもなったものです。この日は多くの人が訪れていました。
町の観光パンフレットの表紙にも使われ、地元の人だけでなく観光に訪れた人にとっても広く認知される存在になっています。夏には橋の上から海に飛び込んで楽しんでいるそうです。

幅員もそれほど広いものでなく、すれ違う際に気をつけないとぶつかってしまいます。

床板に刻まれるのは文字だけでなく記号も登場し、湿地の奥に見える周辺の住居もニューイングランド地方の建築様式に統一されていて、かつ違和感なく空間に収まり、秩序が保たれた歩く人にとって楽しく心地よいは素敵な空間を創出しています。

湿地帯にそっと足をおろすように、海までまっすぐに延びたボードウォークと周囲の景観の美しさは先にある海の期待感を高め、その期待を裏切らない海の景色。一連の体験はまた来たい、そう思わせてくれるものでした。

更に寄り道…。ケープコッドは一見陸続きのようにも見えますが、南北を貫通する巨大な運河(Cape Cod Canal)が流れているため実質島のようになっています。運河には大陸と行き来できるように3箇所に橋梁がかけられています。
車が行き来する橋はアーチ橋が、そして鉄道が行き来する箇所には昇開橋がそれぞれかけられています。これには榎本さん大興奮。

筑後川昇開橋のように船舶が通る部分だけが動くのではなく、運河の幅全体で動く仕組み。カメラのフレームにおさまらないくらいの大きさでありながら鋼のトラスのため軽快な印象を持たせてくれます。
また、タワー頂部やエントランス部の装飾のディテールにもこだわりが感じられ、一歩間違えば間が抜けてしまいそうな橋を両側から引き締めてくれるような感じがします。

視点場の整備も少ない素材で、あくまでさりげないつくり込み方はとても参考になります。木製の防護柵がいい感じです。ちなみに昇開橋でも同じような防護柵が使われていたのは偶然でしょうか。

October 18, 2009
ケープコッドへ【USA/筒井】


この日はケープコッドというマサチューセッツ州東端を形成し、腕の形をした半島へ。しかし、アメリカ東海岸に低気圧直撃。豪雨です。
せっかくなのでサンドイッチ町にあるボードウォークを訪れましたが、案の定でした。(ボードウォークについては後日詳述)
これだけの豪雨でもボードウォークが水に浸かっていないということは設計時にそれなりに考えてのことなのでしょうか?
樋口先生が以前研究対象としたケープコッドコミッションのエクゼクティブディレクターのカルボネルさんのお住まいへ。ポートランドでLRTを使ったまちづくりに参加しているようで、取り組みをまとめたDVDを見せていただきました。

うかつにもカルボネル夫妻の写真を撮りそこなってしまったので、愛犬レージーでご容赦を。
手厚い歓迎をしていただいた上、荒天からナンタケットに渡ることができなくなるアクシデントにも女性陣を宿泊させていただき大変お世話になりました。ありがとうございました。

October 14, 2009
イサカの街並み【USA/筒井】

こちらイサカのまちの様子です。イサカコモンズというモールです。

エコビレッジ訪問後スコットさんとここで合流し、彼が最近手がけている建築の設計について話を聞いた後、ここに事務所をもつテトラテックという建築、土木、ランドスケープなどあらゆる分野の設計を行っている会社をスズキさんとオタさんという方に案内していただきました。(スズキさんはスコットさんからの紹介)
社内にはこれまでのプロジェクトの模型がずっしり。アメリカでの仕事の様子や最近取り組んでいる海外でのプロジェクトについて説明をしていただきました。
スコットさん、スズキさん、オタさん、お忙しい中案内していただきありがとうございました。

October 13, 2009
コーネル大学訪問【USA/筒井】


世界で最も美しいとも評されるキャンパスです。
小高い丘の上にある広大なキャンパスから見える風景は赤々と色づいた木々の葉がとても美しいキャンパスでした。写真はホテルの部屋からみた風景。紅葉のきれいなシーズンに来ることができて本当によかったなと思います。

写真の建物はコーネル大学ができた当初に建設され、キャンパスはここを拠点に成長を遂げているそうです。

奥には時計台が見えます。何気なく歩いている道も実は建築物に対して軸となっている、学内の照明柱を同じものを使用するなど計画的にキャンパスが設計された経緯が伺えます。

先ほどの時計台が付近から見える眺め。写真ではわかりにくいですが車が小さく見えるくらい高低差があります。日常暮らしているキャンパスと比較してみても、つぎはぎなのに、全体としてまとまっているキャンパスを創出するというのは困難を極めるものなのだと痛感してしまいます。

学校の図書館です。近代的な様式の図書館も当然ありますが、こうした様式の図書館もあります。本棚に仕切られた勉強机が各所に点在して、集中して勉強にとりくむことができる環境が整えられています。ちょっと逃げ込める環境が九大にも欲しいです。

竹林さんが所属するLandscape Architectureの教室を見学させてもらいました。
学生には各自机が与えられ、授業の課題に向けてドローイングやスケッチを描いています。この学科では、1年生から修士まで全員がこの教室にいて、誰がどんなことをしているのか容易に把握できるようになっています。また、授業の発表も学科のロビーで行われることもあり、多くの学生から見られる中でのプレゼンを強いられているそうです。
まさに互いが互いを刺激しあう競争社会が出来上がっていました。逆を言えば格付けができてしまう厳しい環境であるともいえます。

デザインスタジオの課題も実際のプロジェクトに即したものが多く、現在竹林さんが取り組んでいる今は使われなくなってしまった農業用水を運ぶ水道橋の今後の利活用と周辺のデザイン。川を挟んで貧富の差がわかれている地区だそうで、日本とは異なる社会状況も踏まえながら案を考えているそうです。模型を使いながらスタディを行う学生は決して多くないそうですが、その中で竹林さんは模型を使いながらスタディをしているそうです。

樋口先生の修士論文です。ちゃんと保存されていました。マンハッタンの海岸線のアーバンデザインの提案という内容だったような。パラパラとめくるだけでも佐世保での提案内容の基本的な考え方が垣間見えます。

学生の生活の様子も少しはお伝えしなければということで、ここは学生がよく集まる場所チャプターハウス。ビール片手に談笑したり、この日はアイリッシュミュージックを演奏していたり、思い思いの過ごし方をしています。
ちなみに中央でバイオリンを演奏しているのが樋口先生のコーネル大学在学中からの友人のスコットさん。翌日訪問したエコビレッジは彼がランドスケープデザインを手がけたことがある縁で紹介していただくことに。

キャンパス内の循環バスも充実しています。あちらこちらで走っている上に、バスの前面に自転車が置けるスタンドがついていて、自転車ごとバスで移動できる仕組みになっています。急なのぼりが続く行きはバスを使い、下り坂の帰りは自転車で通学する学生もいるそうです。

学校のそばにあるベーグル屋さんです。この日も朝から店内は多くの人でにぎわっていました。色々な種類のベーグルがあっておいしいかったです。しかし、高カロリー社会を生き抜くのは大変で、慣れるまでは注文しても想定内のものがでてくることはまれで、いつも何かがビックサイズでした。

October 12, 2009
アメリカ視察旅行【USA/筒井】

寒さが押し迫る10月中旬。
研究室の一部のメンバーでアメリカの調査視察旅行に行きましたので、その報告をします。
(更新が遅くなってしまい申し訳ございません)
概要は以下の通り。

参加者(敬称略):樋口、高尾、榎本、竹林、渡邉、筒井(九大+α)、星野、増山、尾野(熊大)
主な目的は大きく2つ。
・Licolnにおける田園景観の保全について近年の取り組みを担当行政の方からヒアリングを行う。
・島の景観を良好に維持しつつ、観光地としても名の知られているNantucketついて資料収集を行う。
さらに、コーネル大学に留学中の竹林さんにキャンパスを案内してもらう、樋口先生がアメリカ留学時代に過ごした様々な場所をみんなで見て回るといったものです。
訪問した都市は図のとおり。

全部をお伝えすることは出来ませんが、筒井と渡邉でできるだけ全日程を網羅できるように更新を行いたいと思います。

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