風景と地域づくりの
出会いと発見DIARY
景観研究室は、プロジェクトや研究を通じて、九州各地の風景・地域づくりに取り組んでいます。地域の人達と未来を語り合う、デザインについて現場で喧々諤々議論する、素敵な風景や食文化を見つける、地域の人達との長いお付き合いが始まる…風景・地域づくりの中で、たくさんの出会いや発見、感動が生まれる毎日。そんな景観研究室の日常を、その時々の現役学生の目を通して、お伝えしていきます。
June 26, 2013
第4回唐津みなと里山の会【大島/行徳】

まず、第1回〜第3回までの取り組みについて簡単に振り返ってみようと思います。
第1回の部会では大島市民の森公園を再整備していくために現地調査を行いました。
東側展望台には唐津を一望できる美しい風景があること、公園を維持管理するための予算がつかなくなり問題が起きていることが分かりました。
そして、大島市民の森公園の再整備には以下の3点が必要であることが分かりました。
①眺望の確保(木、竹の伐採)
②車が頂上へ登るためのアクセス道路の整備
③トイレのためのポンプ修理
①について、頂上にはかつて360度風景を見渡すことができる展望台がありましたが、今はその展望台からは木しか見えません。成長がとても早い竹は、アクセス道路の眺望を妨げています。
②について、軽自動車が通れる既存の道路を活用すればコストを抑えて車が登れる道を整備することが可能です。
町内を通って市民の森の看板がある場所までは、緊急車両が通ることが難しいため車道を整備する必要があります。市民の森入り口から東側展望台までは、今後の活動をきっかけとして大島内外の公園利用者が増えれば整備できるはずです。
③についても同様に大島内外の公園利用者が増えれば修理できるはずです。
これまでの話し合いの中で、竹を伐採する活動を自分たちで行なっていくことにしました。この竹やぶの中には、かつて大島の人たちが里山として大島山を耕していた段々畑の石炭が埋もれています。また、タケノコ堀りや竹炭づくりなど竹伐採とイベントを一緒に行うことで大島の人だけでなく、外の人とも協力しながら継続的に竹伐採をしていくことになりました。
第3回の部会中に、頂上の市民の森だけでなく大島をみなとの里山と捉えて、大島全体のグランドデザインをしていくために「大島展望ゾーン部会」から「唐津みなと里山の会」に名称を変更しました。
山とみなとがこれだけ近い場所は珍しく、山と海を一緒に考えながら大島山の魅力を高めて行きたいです。
先日、6月5日に第4回唐津みなと里山の会がありました。
まずは炭焼き小屋やタケノコ堀りのイベントを行なう上で利用できそうなスペースを見に行くために現地へ行きました。

現地見学場所はオレンジ色になっている部分で、下から【東屋付近の竹林】【頂上へのアクセス道路】【東側展望台】です。
【東屋付近の竹林】

現地見学場所はオレンジ色になっている部分で、下から【東屋付近の竹林】【頂上へのアクセス道路】【東側展望台】です。
【東屋付近の竹林】

竹林内には畑として利用されていたときの石積みや石ガメがあり、竹を伐採したあとにこの石積みを利用した良い雰囲気のイベント空間ができるのではないかという意見がでました。

【頂上へ向かうアクセス道路】

この道からは以前、大島町内から西港までの風景が見えていましたが、竹で全く見えない状況になっています。
東側展望台では高島から火力発電所までの眺望が確保されているので、この場所では火力発電所から大島町内、西港までの風景が見えればいいのではないかという意見がありました。
アクセス道路の脇に雑草がはえているので、竹伐採の活動を行う前に草を処理する必要があります。
【東側展望台】

やはり、ここからの眺めは良いです。この展望台までの演出を含めて、これから検討していく必要があります。
みんなで唐津を見渡しながら、安岡さんが子どもの頃の思い出話を聞きました。
昔大島の子どもは鳥島まで泳ぎで行き、島にある井戸水を飲むのが楽しみだったそうです。

東側展望台よりももう少し頂上へ登った場所から撮った写真ですが、前にある数本の木を切れば、大島山の森と唐津の海、砂浜が一体となって見える美しい風景を生まれると思います。
現地見学後は二タ子三丁目倉庫に戻り、九大や市役所が準備した資料や現地見学の感想をもとに話し合いが行われました。
話し合いの結果、東屋付近の竹林をタケノコ堀りや竹炭づくりを行える空間にして、外部の人にも協力してもらいながら竹伐採を行なっていこうということになりました。
また、助成金を申請して今後の活動資金として利用することにしました。
助成金を申請するための具体的な伐採計画については次回7月3日に行われる部会で話し会います。
今回の部会で実際に竹伐採を行うことが決まり、今後は具体的にどの部分を伐採していくのか話し合いが進んでいきます。
九大としては、竹伐採の計画をたてるうえで検討に必要になる資料の準備と今回の活動が今後どのように大島全体の話につながるのか考えながら準備を進めて行かなければなりません。
大島の人、里山の会の人、他の大島の協力者も含めて、楽しく活動の輪を広げながら大島が良い方向に向かっていけばと思います。

June 25, 2013
実践景観デザイン論【瀬ノ下/行徳】

今年度は樋口先生の集中講義(実践景観デザイン論)が前期に行われ、土木専攻とユーザー感性学府の学生、計30人受講しています。
6月23日は瀬ノ下へ現場見学に行ってきました。
午前に京町コミュニティセンターで授業を受け、午後から現地見学をして、最後に会場に戻りディスカッションを行いました。

午前の講義の様子です。
水天宮付近が歴史的に大事であることを九大景観研が調査し、その結果を九州地方整備局の方に示して理解してもらえたため、景観や歴史に配慮した樋門の設計が行うことができた経緯について説明がありました。
水天宮や石積みの歴史調査、日常の利用調査、イベント時の利用調査の結果を踏まえて設計が行われています。

午後の現地調査では、水天宮、年代ごとに違う石積み、フラップゲート方式の樋門、
天端道路、高水敷のプロムナード、操作室と一つ一つ丁寧に教えてもらいました。
葉っぱを使ったコンクリート表面仕上げへの反応の仕方など、分野が違う学生が集まっているため興味を持って話を聞いている部分が違いました。
操作室付近の駐車場では、昔はいたるところで石積みが使用されていたという説明がありました。
石積みの代わりにコンクリートが数十年使われることで土木事業で石積みを使うノウハウや実績が失われてしまったことや、一つ一つ違う形の石を使うため強度計算が難しいなどの理由から、現在の土木事業で石積みを使うことは難しいです。
しかし、ずっと受け継がれてきた日本の石積みの技術を継承している石工さんは確実に減っており一度伝統が途切れてしまうと技術はもう失われてしまいます。
この授業を受けている世代が、石や木などの自然物を土木事業で使用していくことができるかできないかが、今後の日本の風景をつくり、技術を守り伝えていけるかの分かれ目だという話がありました。
授業後のディスカッションでは、土木の世界を知ってもらった上で、ユーザー感性の学生に自己紹介をしてもらいました。
ユーザー感性の学生は、それぞれ興味のある分野について分かりやすく説明してくれ、目的意識を明確に持って学んでいるのだろうなと感じました。
自分や他の土木の学生と比べると大人で、土木の学生はもう少し自分の学ぶ分野について考えて学んで行かなければならないと思います。
最後に先生から、今回の瀬ノ下では住民参加がうまくいかなかったことについて問題提起がありました。
今度見学に行く遠賀川では60回、松浦川のアザメの瀬では100回ものワークショップが行われ、住民の人たちが土木事業に積極的に参加し、自分たちの土地の風景について考え、良い空間が生まれています。
瀬ノ下と遠賀川、アザメの瀬の違いは共有できる原風景(自然な川で遊んでいた頃の風景)を持っている人が地元にいるかいないかということでした。
じゃあ、そういう人がいない場所ではどうするの??
経済の成長の中で、自然の風景や自然と人が調和した風景は確実に失われてきています。
現状のまま、おじいちゃん、おばあちゃんの世代がいなくなったら、日本の風景をつくるモチベーション、きっかけ、ノウハウ、技術の多くが失われるかもしれません。
最後に引っかかるものが残りましたが、授業は終始穏やかな雰囲気で行われ残り3回楽しみです。

June 21, 2013
市民参加による芝生広場づくり【唐津(芝生広場)/行徳・鍜治・河津】

唐津港で進んでいるみなとまちづくりの流れの中で、東港の市民活動拠点である二タ子三丁目倉庫(旧玄海ヤンマー唐津営業所)前にある駐車場に、芝生広場をつくることになりました。
4月にはこの駐車場に「みなとまちづくり懇話会二タ子三丁目倉庫利活用WG」で考えられたアイデアをもとにして、「みなと倉庫」としての演出を図るため、港の象徴となる錨のモニュメントを設置しています。
今回のプロジェクトは、この錨のモニュメントを活かした芝生広場を自分たちでつくるというものです。
ここでは、このプロジェクトのいきさつをご紹介します。

施工前の現地の様子です。4月に完成した錨のモニュメントと看板を含む楕円形の芝生広場をこれから造っていきます。

芝生広場のレイアウト案は九大で作成しました。
縦12m×横13mの約150㎡の芝生広場です。

広場の外周部となる石柱は、唐津東港のBゾーンにあるトロッコ倉庫の基礎や錨のモニュメントの支柱にも利用しているものと同じ、旧松浦橋橋脚の御影石を使用しました。
客土は唐津市が行なっている唐津日赤病院の移転に伴う造成事業で採掘されたものを使用しました。
材料代は、下地とする砂利1万5千円、芝4万5千円の合わせて6万円です。
芝は、懇話会、唐津夢バンク、GATSU FACTORY、neuf、ROCK DESIGN WORKS、Roots、市役所の方、九州大学土木専攻の学生、景観研究室も含めた様々な方々に寄付をいただき、購入しました。
砂利と砂利代は、橋本建設さんに寄付していただきました。

June 21, 2013
施工準備【唐津(芝生広場)/行徳・鍜治・河津】

5月16日、まず二タ子三丁目倉庫前広場のステンレスの車止めポールの撤去を九大景観研究室で行いました。
車止めポールは広場の西側曲線部に沿って設置されており、石柱を設置するときに妨げとなります。
ポールの総数は10本で、二人掛かりでディスクグラインダーを使ってカットしました。カットした後に残った部分は、金属ハンマーで叩いて穴の中に入れこみ平坦になるようにしました。

5月19日、芝生広場の外枠に用いる石柱の寸法を測定しに、浄水センター内にある石柱置き場に行ってきました。

石柱は旧松浦橋に使用されていたもので、立派な御影石です。
御影石は比重が3~4と大きく一本当たり最大800kg程度あるので、人の手ではビクともしません。

石柱には、側面に牡蠣殻や金属片、ホゾが付いており、
かつて橋として使われていた面影が残っているものが多数見られました。
長期間放置されていたため、写真のように石柱の間から樹木が生えている箇所もありました。

June 21, 2013
施工開始 石柱の搬入・設置、砂利の搬入・均し【唐津(芝生広場)/行徳・鍜治・河津】

5月31日、芝生広場の外枠に石柱を並べて、砂利を敷き詰める作業を行ないました。
石柱の搬入には、地元の橋本建設の橋本さんがユニック車を出して下さいました。

重い石柱をバールで持ち上げてワイヤーを掛けてから、ユニック車を使ってトラックに積んでいき、浄水センターから二タ子三丁目倉庫の前へと持っていきます。

倉庫の前に石柱が到着しました。
設置場所を確かめながら慎重に石柱を置いていきます。
曲線部分は小さい石柱を使用し、石柱同士の隙間が目立たないようにします。
微調整はバールを使い少しずつ動かします。
石柱の釘の跡・さび・貝殻が完成時に表に見えるように設置しました。
石柱同士の隙間にはモルタルを詰めていきます。

石柱が4分の3程度設置された頃、砂利が到着しました。
石柱を据え付けた後で、この山をまんべんなく広げていきます。
この砂利の層は、雨水の排水と、土砂が流れ出るのを防ぐ働きをします。


石柱設置も中盤に差し掛かった頃、長さが合わない箇所がでてきました。
石柱はクレーン車でしか運ぶことができないため入れ替えの作業は大変で、
その箇所は諦めてそのまま作業を続けていました。
橋本建設の職人さんが大きいハンマーで石柱の内側を何箇所か叩いて削り、バールで石柱を寄せるという作業を繰り返し、石柱をうまく外枠に合わせて据え付けることができました。

作業開始から、約6時間で石柱の設置が無事完了しました。

三丁目倉庫利活用WGメンバーの中山さんが応援に来て下さいました。
スーツ姿の方が中山さんです。

19時には砂利の敷き均しと隙間のモルタル埋めが完了しました。

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