風景と地域づくりの
出会いと発見DIARY
景観研究室は、プロジェクトや研究を通じて、九州各地の風景・地域づくりに取り組んでいます。地域の人達と未来を語り合う、デザインについて現場で喧々諤々議論する、素敵な風景や食文化を見つける、地域の人達との長いお付き合いが始まる…風景・地域づくりの中で、たくさんの出会いや発見、感動が生まれる毎日。そんな景観研究室の日常をお伝えしていきます。
August 24, 2019
大分線路敷プロムナード(仮称)続き

大分の線路敷跡プロムナード、最近は工事が大詰めに入っているので、ほぼ週一で出かけています。今日は昨日撮ってきた写真を中心に進み具合をご報告します。

 

西側入り口に無事ゲートが設置されました。全てレールで作られています。

 

正確な曲げ加工が神業です。注意して探せば、山手線の駅のホーム等でよく似た構造を見つけることができます。もちろん九州にも数多く残っており、旧国鉄時代の貴重な遺産なのですが、今年の春に卒業した日下部君のとても地道な卒論調査の結果、現在は当時の技術が絶えかけていることがわかりました。このゲートではそうした貴重な技術を再現しています。

 

公園側から見るとこんな感じ。右手の土砂と巨石はまもなく「里山」に変身し、ゲート前にある大分市設保育所の子供達の遊び場になります。

 

ほぼ完成した中間地点部分。左から無人運転車坂路、線路デッキ遊歩道、そして石張り階段です。その奥は防災広場を兼ねた公園です。

 

大友館跡公園へのデッキ歩道ルートと眺望デッキへ向かうルートとの分岐点部分。レールが交差する厄介な地点ですが、とても丁寧にデッキ材の取り付けが進められています。

 

さらに西に進むと、大友館跡公園へ続くルート(デッキ部分)と眺望デッキへ続くルート(煉瓦積み擁壁の上)の高低差が大きくなっていきます。

昨日は煉瓦積み擁壁の先の部分に鋼製の眺望デッキ本体の据え付け工事が行われていました。

 

あいにくの雨模様のため、ブルーシートを張った下での作業です。仮組み立ての後で締結ボルトの本締めと半円形アーチの溶接固定が行われていました。この半円形部材もレールを曲げ加工したもの。眺望デッキの高さは3mになります。

 

三箇所あるスクエアベンチもほぼ完成。デッキ材と同じ大分産杉板を張っています。中央の植栽マスにはオリーブの木。日本に初めてオリーブオイルを持ち込んだのはキリスト教伝道のため来日したザビエル等フランシスコ派のポルトガル人宣教師であったと言われています。ザビエルと言えば、大分の武将大友宗麟との交友で有名ですよね。なのでオリーブの木な訳です。

 

スクエアベンチの下地には、ペットボトルのキャップをリサイクルした環境にとっても優しい根太(黒い部分)を使用しています。1立方メートルあたり28万本分ものキャップを使っているんですよ。

 

線路デッキ遊歩道側には、ベンチがスケボーで壊されるのを抑止するための真鍮製スパイクをさりげなく取り付けています。奥には張ったばかりの芝が写っています。

 

線路デッキ遊歩道のスロープ部分には、木製ベンチ(支柱は鋼製)が。約20mおきに配置してあり、ベンチの横には車椅子を利用される方が休憩できるよう広めの空間を設けています。下地の透水性コンクリートの上にデッキ材を貼り込んだら完成です。これももちろん大分産杉材。スロープの勾配は、手動車椅子での上り下りができるだけ楽になるよう2%以下に抑えています。

 

昔懐かしいクレオソート系防腐処理をした杉の電信柱。仮固定するところまで進んでおり、この後基礎コンクリートを打設します。その後電信柱の先端に国鉄の操車場等で使用されていたタイプの照明器具を取り付けます。

 

線路敷跡プロムナードと隣接する民地との境界には、耐久性があり目立たない溶融亜鉛メッキ仕上げの金網フェンスを設置しています。写真はフェンス壁面を緑化するために植えれたアイビー類の苗です。綺麗な緑のカーテンになってくれるといいのですが。

 

眺望デッキとJR九州の高架線路の間には、黒竹の林がほぼ完成。数年すれば地下茎が成長し密な竹林になります。飛び石以外の場所は実際の線路で使用されているバラスト(握り拳大の砕石)で覆います。このバラストは特注で、空気に触れると徐々に錆色に変色していきます。

 

研究室で製作した手作りの標柱も一部設置が終わっていました。いい感じです!

 

今後も随時進捗報告していきます。

 

 

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