風景と地域づくりの
出会いと発見DIARY
景観研究室は、プロジェクトや研究を通じて、九州各地の風景・地域づくりに取り組んでいます。地域の人達と未来を語り合う、デザインについて現場で喧々諤々議論する、素敵な風景や食文化を見つける、地域の人達との長いお付き合いが始まる…風景・地域づくりの中で、たくさんの出会いや発見、感動が生まれる毎日。そんな景観研究室の日常をお伝えしていきます。
June 21, 2013
市民参加による芝生広場づくり【唐津(芝生広場)/行徳・鍜治・河津】

唐津港で進んでいるみなとまちづくりの流れの中で、東港の市民活動拠点である二タ子三丁目倉庫(旧玄海ヤンマー唐津営業所)前にある駐車場に、芝生広場をつくることになりました。
4月にはこの駐車場に「みなとまちづくり懇話会二タ子三丁目倉庫利活用WG」で考えられたアイデアをもとにして、「みなと倉庫」としての演出を図るため、港の象徴となる錨のモニュメントを設置しています。
今回のプロジェクトは、この錨のモニュメントを活かした芝生広場を自分たちでつくるというものです。
ここでは、このプロジェクトのいきさつをご紹介します。

施工前の現地の様子です。4月に完成した錨のモニュメントと看板を含む楕円形の芝生広場をこれから造っていきます。

芝生広場のレイアウト案は九大で作成しました。
縦12m×横13mの約150㎡の芝生広場です。

広場の外周部となる石柱は、唐津東港のBゾーンにあるトロッコ倉庫の基礎や錨のモニュメントの支柱にも利用しているものと同じ、旧松浦橋橋脚の御影石を使用しました。
客土は唐津市が行なっている唐津日赤病院の移転に伴う造成事業で採掘されたものを使用しました。
材料代は、下地とする砂利1万5千円、芝4万5千円の合わせて6万円です。
芝は、懇話会、唐津夢バンク、GATSU FACTORY、neuf、ROCK DESIGN WORKS、Roots、市役所の方、九州大学土木専攻の学生、景観研究室も含めた様々な方々に寄付をいただき、購入しました。
砂利と砂利代は、橋本建設さんに寄付していただきました。

June 21, 2013
施工準備【唐津(芝生広場)/行徳・鍜治・河津】

5月16日、まず二タ子三丁目倉庫前広場のステンレスの車止めポールの撤去を九大景観研究室で行いました。
車止めポールは広場の西側曲線部に沿って設置されており、石柱を設置するときに妨げとなります。
ポールの総数は10本で、二人掛かりでディスクグラインダーを使ってカットしました。カットした後に残った部分は、金属ハンマーで叩いて穴の中に入れこみ平坦になるようにしました。

5月19日、芝生広場の外枠に用いる石柱の寸法を測定しに、浄水センター内にある石柱置き場に行ってきました。

石柱は旧松浦橋に使用されていたもので、立派な御影石です。
御影石は比重が3~4と大きく一本当たり最大800kg程度あるので、人の手ではビクともしません。

石柱には、側面に牡蠣殻や金属片、ホゾが付いており、
かつて橋として使われていた面影が残っているものが多数見られました。
長期間放置されていたため、写真のように石柱の間から樹木が生えている箇所もありました。

June 21, 2013
施工開始 石柱の搬入・設置、砂利の搬入・均し【唐津(芝生広場)/行徳・鍜治・河津】

5月31日、芝生広場の外枠に石柱を並べて、砂利を敷き詰める作業を行ないました。
石柱の搬入には、地元の橋本建設の橋本さんがユニック車を出して下さいました。

重い石柱をバールで持ち上げてワイヤーを掛けてから、ユニック車を使ってトラックに積んでいき、浄水センターから二タ子三丁目倉庫の前へと持っていきます。

倉庫の前に石柱が到着しました。
設置場所を確かめながら慎重に石柱を置いていきます。
曲線部分は小さい石柱を使用し、石柱同士の隙間が目立たないようにします。
微調整はバールを使い少しずつ動かします。
石柱の釘の跡・さび・貝殻が完成時に表に見えるように設置しました。
石柱同士の隙間にはモルタルを詰めていきます。

石柱が4分の3程度設置された頃、砂利が到着しました。
石柱を据え付けた後で、この山をまんべんなく広げていきます。
この砂利の層は、雨水の排水と、土砂が流れ出るのを防ぐ働きをします。


石柱設置も中盤に差し掛かった頃、長さが合わない箇所がでてきました。
石柱はクレーン車でしか運ぶことができないため入れ替えの作業は大変で、
その箇所は諦めてそのまま作業を続けていました。
橋本建設の職人さんが大きいハンマーで石柱の内側を何箇所か叩いて削り、バールで石柱を寄せるという作業を繰り返し、石柱をうまく外枠に合わせて据え付けることができました。

作業開始から、約6時間で石柱の設置が無事完了しました。

三丁目倉庫利活用WGメンバーの中山さんが応援に来て下さいました。
スーツ姿の方が中山さんです。

19時には砂利の敷き均しと隙間のモルタル埋めが完了しました。

June 21, 2013
真砂土の搬入・均し・締固め【唐津(芝生広場)/行徳・鍜治・河津】

6月5日、いよいよ真砂土が搬入され、芝生を敷くための下地を作っていきます。
使用する真砂土の量は約40㎥、10tダンプ8台分です。

前回敷き詰めた砂利の層の上に土の山ができ、これを崩して一面に広げていきます。

真砂土が一面に広がったら、今度は締固めです。
ただ敷き詰めただけでは、足がズブズブと沈んでゆるい地盤になっています。
締固めが悪い下地に芝を張ってしまうと、表面がデコボコの芝生が完成してしまいます。
しっかりと締固め、硬い下地を作り、きれいな芝生ができるようにしていきます。

木で作った締固め道具や人の足を使ってある程度締固めた後で、水をたっぷり散き、さらに締固めます。
水を撒くことで土の粒子の間に残った空気が水に置き換わり、その水が抜けることでさらにギュッと締まるのです。

散水し真砂土が締め固まったら、次は雨でで水たまりができないように、真砂土の下地に排水勾配をつけていきます。中央の碇のモニュメントから外側に向かって低くなっていくように、真砂土を削っていきます。

途中、大島の辻さんが様子を見に来てくださいました。
芝の事、水糸の貼り方、薄い板で地面を削る方法など、丁寧に教えてくださいました。


この作業は4日間続きましたが、無事に完了しました。

June 21, 2013
芝生広場の完成【唐津(芝生広場)/行徳・鍜治・河津】

6月9日、いよいよ待ちに待った「芝張り」の日がやってきました。
真砂土の搬入から均し完了まで4日間かかりましたが、いろいろな方のお力添えのおかげで、なんとかこの日を迎える事ができました。
天候が悪い中にもかかわらず、20名近くの方が参加して下さいました。
広さにして約150㎡、枚数にして約600枚近くの芝を張ります。

芝には様々な張り方がありますが、
今回は隙間を空けて張る「目地張り」で行う事にしました。
広場の中心から左右に分かれて張っていきます。


はみ出す部分はカッターでぴったり合うサイズ、形にカットして合わせながら張っていきます。
カットして余った部分は、無駄にすることなく隙間に張っていきます。

芝を張り終わった部分には、芝と目地に目土(真砂土)を入れていきます。

作業を始めてから1時間半ほどで、広場一面に芝を張り終えました。
芝生に根が付いて目地や隙間が芝で覆われるのにはまだまだ時間がかかりますが、
今日の芝張りは無事終了です。
これからは定期的に芝生の様子をチェックして、手入れをしていく必要があります。
参加された皆様、お疲れ様でした。
梅雨が明けて、天気の良い日に芝生広場での完成セレモニーでお会いできる事を楽しみにしています。

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