風景と地域づくりの
出会いと発見DIARY
景観研究室は、プロジェクトや研究を通じて、九州各地の風景・地域づくりに取り組んでいます。地域の人達と未来を語り合う、デザインについて現場で喧々諤々議論する、素敵な風景や食文化を見つける、地域の人達との長いお付き合いが始まる…風景・地域づくりの中で、たくさんの出会いや発見、感動が生まれる毎日。そんな景観研究室の日常をお伝えしていきます。
May 27, 2019
大学院集中講義その3:唐津東港

集中講義三回目。唐津東港です。15年にわたり継続してきた市民と行政が協働するみなとまちづくりの実験場です。

その中心となっているのは「唐津みなとまちづくり懇話会」という市民、行政、港湾関係事業者等が集うまちづくりグループです。懇話会が平成17年に作成した「地域素案」という唐津港周辺の青写真を元に、かつて生コン工場や砂置き場、大小の倉庫群などが立ち並んでいた空間が、ゆっくりとですが居心地の良い海辺のオープンスペースに変容しつつあります。

バブルの時代には、ドカンとお金がついて短期間でできてしまったであろうみなと空間の再開発を、毎年少しづつできることろからできる人たちや組織が汗をかくことでじっくりと着実に進めていくという手法。留学生のみなさんにどこまで伝わったかよくわかりませんが、お天気に恵まれ楽しい海辺の一時を過ごすことができました。

 

現在の唐津東港エリア。公園や松原、プロムナードなどの基盤施設に加え、壱岐へのフェリーターミナル、国の新合同庁舎、県営新競り場、水産会館など多数の公共施設が建設され、15年前とは全く違う空間になりつつあります。今後の目標は、スペシャリティショップやレストランカフェなど集客施設の誘致や空間全体を生かしたソフトの展開です。

 

みなとまちづくりのシンボル、松ぼっくりゴジラの前で記念撮影。このゴジラは日本三大松原の一つ、唐津の虹ノ松原で集めた松ぼっくりでできています。この日は唐津駅で駅長さんのお仕事をしていました。詳しくはこのブログの「唐津(トロッコ・ゴジラ)」のカテゴリーをご覧ください。

May 18, 2019
大学院集中講義その2@遠賀川直方の水辺

今日の集中講義は直方の遠賀川です。昨日の「土木エンジニア史」のフィールドトリップの翌日なので、僕は少々バテ気味。

まず防災拠点兼川づくり拠点の「水辺館」に10時に集合して坂本先生からNPOによる川づくり活動について熱いお話をしていただきました。水辺館の皆さん、柏餅の差し入れありがとうございました! 美味しかったです。

その後各自で昼食をとった後、「歳時館(近代の炭鉱開発に尽力した堀三太郎氏の住宅だった建物。現在は市が管理し様々な市民活動に利用されています)」に再集合。例年同様、川づくり活動にも参加されている田中さん達に茶道を教わっている小・中学生のお点前でお茶をいただきました。留学生の皆さんには日本文化に触れる楽しいひと時となったようです。田中さん、皆さん、ありがとうございました! 来年もよろしくお願いいたします。

あいにくの雨模様だったので現場見学はキャンセルする予定だったのですが、お茶をいただき留学生と子供さん達との間で「茶飲話」をしているうちに天気が持ち直し、急遽駆け足で川に戻って河川敷を歩くことに。

地元の川づくりの市民グループの方達、遠賀川河川事務所、そして九大景観研が十年以上前に全力で取り組んだ遠賀川の水辺の「リデザイン」の苦労話をハンドマイクで説明しながら、水辺館前の河川敷をぐるっと一周し、強い風が吹く中で最後に集合写真を撮って解散しました(リデザインの詳細はこのブログの「遠賀川」のカテゴリーをご覧ください)。平らだった高水敷を緩傾斜のスロープに改めた意図、地形のアンジュレーションに込めたデザイントリック、土と石と煉瓦と木材をできるだけ多く使用しコンクリートを極力避けた意図、利用者の数が改修後に大きく増加した理由等々、ちゃんと理解してくれたでしょうか…来週は唐津東港に行きます。

 

中学生の皆さんによるお点前のデモンストレーション。完璧! それもそのはず。右のお嬢さんは十年習っておられるそうです。

 

留学生の皆さんはさすがに正座は無理。そりゃそうだ。

 

「明日の世界を救うのは我々だ!」ということで、一応未来を見つめる視線でポーズをとってます。

May 17, 2019
「土木エンジニア史」フィールドトリップ

今日は朝から学部二年生の必修科目「土木エンジニア史」のフィールドトリップ。八十人がバス三台に分乗し、午前中はあのベシャワール会がアフガニスタンで灌漑施設を建設する際に参考にした筑後川吉井の山田堰を見学し、17世紀の日本の農業土木技術の素晴らしさを体感。

白壁の街並で有名な吉井の伝建地区で昼食をとった後、九州に残る近代土木遺産の一つ、南河内貯水池に移動。京都帝大出身のエンジニア沼田さん渾身のダムと橋梁群をダム湖畔の散策路を一時間歩いてゆっくり見学。

予定通り午後5時前に大学に帰着。同行してくれた荒巻くん、四年生の川藤さん、木村さん、お疲れ様でした。今日のフィールドトリップに参加したことで一人でも多くの二年生に「シビルエンジニアリングの道を選んで良かったな」と思ってもらえてるといいのですが…

 

吉井でみつけたカッパ?像。筑後川流域にはカッパ伝説がたくさんあります。

 

ダム貯水池に架かる南河内橋。今では珍しいレンティキュラートラス構造です。

 

スパン中央部で「みんなで一斉にジャンプしてどれだけ揺れるか試してみよう!」とジャンプした直後。しっかり揺れてるのでビビってます。構造のことが理解できていれば当然のことなのですが、二年生には衝撃の体験だったようです。これからある構造系の授業でしっかり勉強してね。

 

1927年に竣工したダム本体。下流側から見るとツタが生い繁り、まるで宮崎駿の「ラピュタ」に出てくる廃墟のよう。周辺の自然と見事に調和しています。でもまだちゃんと現役なんです。すごいことです。

 

May 17, 2019
F3塗装作業その後

月曜日に足場が撤去されました。以下、完成写真です。

 

綺麗に塗れています!

 

近くの桟橋から見るとこんな感じ。

 

東港に入港するクルーズ船からはこんな感じで見えることになります。背景にたっぷりの緑があるおかげでF3が引き立ってますね。

この塗装を見て「F3でお店をやりたい!」と手をあげてくれる会社や個人が出てきてくださることを祈ってます。

 

May 14, 2019
F3@唐津東港のロゴ塗装作業

平成14年から続いている唐津港での港まちづくり活動。昨年、二タ子三丁目倉庫の利活用を具体化させるためF3ワーキンググループが立ち上がりました。

尾道の海辺にU2というユニークな施設があるのをご存知ですか? 古い広島県営の倉庫で「上屋2号」と呼ばれていたものをリノベーションし、素敵なレストラン/カフェと雑貨やさん、そしてGiantの自転車店が入っています。「上屋2号」なので「U2」。特筆ものはサイクリスト御用達の小規模なホテル。大事な自転車を部屋に持ち込み壁に飾ることができるようになっています。詳しくは書きませんが、四国に渡る「しまなみ海道」が今や世界のサイクリストの聖地と成っており、世界中から尾道を訪れる自転車愛好家たちがこのホテルを利用するそうで、年間通して70%以上の稼働率とか。

F3ワーキンググループも昨年このU2を見に行きました。そして帰りの車中で「唐津でもできる!」と盛り上がったのです。

まずはネーミング。この際敢えてU2の二番煎じでいこう、ということになり、「二タ子三丁目倉庫」なので「F3」に決まりました。悪くないでしょ? まずはテナントや事業主体になってくれる組織を探さないといけません。今年の7月15日には、サイクルショップやレストラン関係者他をお招きして内覧会的なイベントを実施します。

それに向けて、九大景観研では、二タ子三丁目倉庫改めF3のロゴマークのデザインと同倉庫外壁の大扉の塗装作業を引き受けました。

みなとまちづくり懇話会のメンバーで地元建設会社の社長さんである岩本さんにお願いして、足場を作っていただき、それに上がって先週の金土の二日間で下塗りと仕上げを済ませました。

足場に上ってまずは輪郭線を描き、マスキングテープを貼ってから、アイボリーの文字部分から塗装開始。

 

よく乾いたところで背景のベンガラ色を塗ります。この色は唐津港まちづくりのテーマカラーで、これまでに県営新競り場、製氷施設、水産会館など新設されたほとんどの建物の外壁色に採用してもらっています。唐津焼独特のベンガラ色と、唐津港が石炭積み出しで栄えた時代の建物の煉瓦の色がモチーフです。

 

無事完成! 我ながらなかなかの出来映えです。何かがここで起こりそうな気配がしてきますよね。みなとに入ってくるフェリーやクルーズ船からバッチリ見えます。7月15日にお招きしているお客様達のハートをしっかり捕まえてくれることを祈っています。手伝ってくださった学生さん、そして地元の皆さんに感謝です。

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