風景と地域づくりの
出会いと発見DIARY
景観研究室は、プロジェクトや研究を通じて、九州各地の風景・地域づくりに取り組んでいます。地域の人達と未来を語り合う、デザインについて現場で喧々諤々議論する、素敵な風景や食文化を見つける、地域の人達との長いお付き合いが始まる…風景・地域づくりの中で、たくさんの出会いや発見、感動が生まれる毎日。そんな景観研究室の日常を、その時々の現役学生の目を通して、お伝えしていきます。
May 30, 2011
トロッコ倉庫に関するお話 その4「木材」 【トロッコ倉庫/深川】



トロッコ倉庫の主材は木材で、佐賀県産材の杉を使用します。
佐賀県では県産材の木材の利用を推進していく活動を行っており、
県民、大工・工務店などを対象に木造住宅の啓発する活動や、
県の森林・木材に関する情報を提供するサイト(http://www.yoka-wood.jp/)を開設するなどしています。
今回の木材は唐津の製材所に資材を発注し、地元の大工さんにプレカットを行なってもらいました。


部材の接続部の加工は、まさに職人技です。
口では言い表せない、ホゾ加工がいくつもあります。


こちらがお願いした合掌頂端部の特殊加工も、指示通りしっかりやっていただきました。
この加工は京都の寺社建築を参考に設計しました。
大工さんのこのような拘りのあるディテールの仕事っぷりには感動します。
あらゆる技能職の職人が少なくなっていると言われていますが、
このような技術には、伝統的で文化的、強いては芸術的な価値さえあると思います。
必ず継承されていかなくてはならないものでしょうか。

May 30, 2011
トロッコ倉庫に関するお話 その3「御影石」 【トロッコ倉庫/深川】



唐津浄水センター敷地内には長い間使用され、表面がいい感じにエージングした御影石があります。
この御影石は松浦川に架けられていた先代の松浦橋の資材として使われていたものです。

御影石が使われていたと思われる頃の松浦橋です。
写真から橋の資材はほとんど木材だったようです。

保管されている御影石をよく見ると、石材同士をつなぎ合わせるために加工したホゾがあります。
当時の石工の技術を伺い知ることができます。
トロッコ倉庫では、この御影石を基礎石として使います。
使われなくなるはずだった素材には、それまでの場所で使われてきたストーリーが刻まれています。
瓦と御影石をトロッコ倉庫に使うことで、2つのストーリーがそれには蓄積されます。
トロッコ倉庫にストーリーを持たせることで、唐津にあった風景の記憶が継承していければと思います。

May 30, 2011
トロッコ倉庫に関するお話 その2「瓦」 【トロッコ倉庫/深川】


擬洋風建築の外観で重要なものの一つが瓦です。
しかしトロッコ倉庫の建設にあたっては予算の問題で瓦の購入が難しい状況にありました。
そのため、どこからか瓦を譲り受ける事はできないかと考え、
唐津市や地元の業者さんにご協力頂き、使い道のなくなっている瓦の捜索にあたりました。
約1ヶ月間捜索の結果見つかったのが、「旧大島邸」の瓦です。
旧大島邸は、旧唐津銀行の頭取を勤めた大島小太郎氏の邸宅で、
唐津市内に残っている唯一の武家屋敷です。
当初、近接する小学校の立替に伴い、この大島邸を取り壊し、
そこに新たな校舎を建てるという計画が立てられていましたが、
市民団体の「大島邸を保存する会」の精力的な取組みにより文化財としての価値が認められ、
移築・保存という計画に見直されました。
移築・保存に向け解体工事が進んでいる最中、再築時には使用しない瓦があることが分かり、
それを提供頂くことになりました。
再築時に使用しない瓦とは、過去に大島邸の改修が行なわれた際に使用された平成瓦であり、
文化財として移築する際にはこの瓦ではなく、建築当初の瓦を復刻し使用するため、
今回提供頂くことができました。


状態は極めて良く、まだまだ現役として使える瓦です。
瓦が使われていたところが寄棟屋根だったため(トロッコ倉庫は切妻屋根)、
瓦の種類が足りず一部は購入となりますが、
大部分はこの瓦を使うことになります。
そのまま行けば、おそらく廃材として処分されていたと思われる瓦ですが、
新たな建物の屋根で今度はその役目を果たしてもらいます。

May 30, 2011
トロッコ倉庫に関するお話 その1「建築様式」 【トロッコ倉庫/深川】


ご存知の方も多いと思いますが、唐津は著名な建築家たちの出身地として有名です。
その建築家の中に辰野金吾と曽禰達蔵がいます。
2人とも数多くの建築を世に生み出してきましたが、
唐津にも2人が設計に携わった建築が残っています。
その一つが曽禰達蔵が設計した、上写真の「旧三菱合資会社唐津支店(歴史民俗資料館)」です。
日本でも数少ない洋風明治建築の一つで県・市指定重要文化財となっています。

歴史民俗資料館の敷地内には、同年代につくられたと考えられる小さな離れがあります。
建築様式は「擬洋風建築」と言われるものです。
擬洋風建築とは、明治初期に日本人の職人達が日本に入り始めきていた西洋建築の限られた情報を参考に、見よう見真似でつくった建築のことです。
大きな特徴は、瓦屋根と、杉板を鎧張りた下見板壁という外観です。
田舎の小学校などの木造校舎で見られる建築様式です。
みなと松原に程近く、またトロッコ倉庫の建築規模から考えて、
これをトロッコ倉庫の建築様式として取り入れることにしました。
設計したトロッコ倉庫の1/10模型です。
大きさは敷地面積約10㎡、高さ約3mとなっています。

内部の構造です。
屋根の構造は方杖を使ったトラス構造としました。
真上に伸びる方杖により、低い天井をなるべく高く見せる演出をしています。

部材の結合は基本的にボルトを使います。
出来上がりは小さい小屋ですが、
その実物が擬洋風建築としてどのように見られるか非常に楽しみです。
(※辰野金吾が唐津で設計監修として携わったのが「旧唐津銀行本店」です。
その「旧唐津銀行本店」が先日リニューアルオープンしました。詳細はこちら。http://karatsu-bank.jp/)

May 25, 2011
佐賀県研修事前打合せ【佐賀/高尾】


佐賀県が行なう景観法に関する研修会のプログラムを検討するため、
担当者と一緒に神埼市と吉野ヶ里町を訪れ、市町の方に案内していただきました。
写真は、お昼に訪れた神埼市の神埼宿場茶屋(0952-53-3040)。
神埼そうめんがとても美味しかったです(私はもともと好物でもあり)。
昨年も、鹿島市、伊万里市、武雄市、嬉野市、小城市、多久市等々、案内していただいており、
市町の方の仕事のニーズにできるだけ応えられるものになるように、
今年も頑張って企画したいと思っています。

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