風景と地域づくりの
出会いと発見DIARY
景観研究室は、プロジェクトや研究を通じて、九州各地の風景・地域づくりに取り組んでいます。地域の人達と未来を語り合う、デザインについて現場で喧々諤々議論する、素敵な風景や食文化を見つける、地域の人達との長いお付き合いが始まる…風景・地域づくりの中で、たくさんの出会いや発見、感動が生まれる毎日。そんな景観研究室の日常をお伝えしていきます。
June 1, 2019
大学院集中講義その4:瀬の下樋門

いよいよ集中講義も最終回。今日は久留米市にある有名な水天宮まで来ています。講義の対象は水天宮ではなく、その参道入口脇にある石積みの護岸とその中に埋め込まれた樋門です。

当初の案では古い石積み護岸を撤去したうえで現代的な二本足の樋門と樋門操作室を建設することになっていましたが、石積みに刻まれた水天宮にまつわる歴史、地域の治水の歴史を継承していくべきであるとの九大景観研の提案が受け入れられ、石積みを残し(一部は新設)その中に遠隔操作の樋門ゲートを埋め込む設計に変更していただきました。

詳しくは本ブログの「筑後川瀬の下地区」のカテゴリーをご覧ください。

 

既存の陸閘石積みを一度丁寧に分解し樋門本体他を設置した後で石積みを再構築したことを、学生さんたちに説明中の僕。なんだか僕の方が夢中になってるみたいです…石材は遠く有明海を挟んだ長崎県諫早の小長井石です。知人のベテラン石工さんの見立てでオリジナルの採石地域が明らかになり、新造部分にも同じ石を採用することができました。

これで今年の集中講義も無事終了。週末に4回続けてフィールドトリップを入れるのはさすがにこたえます。学生さんたちもお疲れ様でした!

May 27, 2019
大学院集中講義その3:唐津東港

集中講義三回目。唐津東港です。15年にわたり継続してきた市民と行政が協働するみなとまちづくりの実験場です。

その中心となっているのは「唐津みなとまちづくり懇話会」という市民、行政、港湾関係事業者等が集うまちづくりグループです。懇話会が平成17年に作成した「地域素案」という唐津港周辺の青写真を元に、かつて生コン工場や砂置き場、大小の倉庫群などが立ち並んでいた空間が、ゆっくりとですが居心地の良い海辺のオープンスペースに変容しつつあります。

バブルの時代には、ドカンとお金がついて短期間でできてしまったであろうみなと空間の再開発を、毎年少しづつできることろからできる人たちや組織が汗をかくことでじっくりと着実に進めていくという手法。留学生のみなさんにどこまで伝わったかよくわかりませんが、お天気に恵まれ楽しい海辺の一時を過ごすことができました。

 

現在の唐津東港エリア。公園や松原、プロムナードなどの基盤施設に加え、壱岐へのフェリーターミナル、国の新合同庁舎、県営新競り場、水産会館など多数の公共施設が建設され、15年前とは全く違う空間になりつつあります。今後の目標は、スペシャリティショップやレストランカフェなど集客施設の誘致や空間全体を生かしたソフトの展開です。

 

みなとまちづくりのシンボル、松ぼっくりゴジラの前で記念撮影。このゴジラは日本三大松原の一つ、唐津の虹ノ松原で集めた松ぼっくりでできています。この日は唐津駅で駅長さんのお仕事をしていました。詳しくはこのブログの「唐津(トロッコ・ゴジラ)」のカテゴリーをご覧ください。

May 18, 2019
大学院集中講義その2@遠賀川直方の水辺

今日の集中講義は直方の遠賀川です。昨日の「土木エンジニア史」のフィールドトリップの翌日なので、僕は少々バテ気味。

まず防災拠点兼川づくり拠点の「水辺館」に10時に集合して坂本先生からNPOによる川づくり活動について熱いお話をしていただきました。水辺館の皆さん、柏餅の差し入れありがとうございました! 美味しかったです。

その後各自で昼食をとった後、「歳時館(近代の炭鉱開発に尽力した堀三太郎氏の住宅だった建物。現在は市が管理し様々な市民活動に利用されています)」に再集合。例年同様、川づくり活動にも参加されている田中さん達に茶道を教わっている小・中学生のお点前でお茶をいただきました。留学生の皆さんには日本文化に触れる楽しいひと時となったようです。田中さん、皆さん、ありがとうございました! 来年もよろしくお願いいたします。

あいにくの雨模様だったので現場見学はキャンセルする予定だったのですが、お茶をいただき留学生と子供さん達との間で「茶飲話」をしているうちに天気が持ち直し、急遽駆け足で川に戻って河川敷を歩くことに。

地元の川づくりの市民グループの方達、遠賀川河川事務所、そして九大景観研が十年以上前に全力で取り組んだ遠賀川の水辺の「リデザイン」の苦労話をハンドマイクで説明しながら、水辺館前の河川敷をぐるっと一周し、強い風が吹く中で最後に集合写真を撮って解散しました(リデザインの詳細はこのブログの「遠賀川」のカテゴリーをご覧ください)。平らだった高水敷を緩傾斜のスロープに改めた意図、地形のアンジュレーションに込めたデザイントリック、土と石と煉瓦と木材をできるだけ多く使用しコンクリートを極力避けた意図、利用者の数が改修後に大きく増加した理由等々、ちゃんと理解してくれたでしょうか…来週は唐津東港に行きます。

 

中学生の皆さんによるお点前のデモンストレーション。完璧! それもそのはず。右のお嬢さんは十年習っておられるそうです。

 

留学生の皆さんはさすがに正座は無理。そりゃそうだ。

 

「明日の世界を救うのは我々だ!」ということで、一応未来を見つめる視線でポーズをとってます。

May 17, 2019
「土木エンジニア史」フィールドトリップ

今日は朝から学部二年生の必修科目「土木エンジニア史」のフィールドトリップ。八十人がバス三台に分乗し、午前中はあのベシャワール会がアフガニスタンで灌漑施設を建設する際に参考にした筑後川吉井の山田堰を見学し、17世紀の日本の農業土木技術の素晴らしさを体感。

白壁の街並で有名な吉井の伝建地区で昼食をとった後、九州に残る近代土木遺産の一つ、南河内貯水池に移動。京都帝大出身のエンジニア沼田さん渾身のダムと橋梁群をダム湖畔の散策路を一時間歩いてゆっくり見学。

予定通り午後5時前に大学に帰着。同行してくれた荒巻くん、四年生の川藤さん、木村さん、お疲れ様でした。今日のフィールドトリップに参加したことで一人でも多くの二年生に「シビルエンジニアリングの道を選んで良かったな」と思ってもらえてるといいのですが…

 

吉井でみつけたカッパ?像。筑後川流域にはカッパ伝説がたくさんあります。

 

ダム貯水池に架かる南河内橋。今では珍しいレンティキュラートラス構造です。

 

スパン中央部で「みんなで一斉にジャンプしてどれだけ揺れるか試してみよう!」とジャンプした直後。しっかり揺れてるのでビビってます。構造のことが理解できていれば当然のことなのですが、二年生には衝撃の体験だったようです。これからある構造系の授業でしっかり勉強してね。

 

1927年に竣工したダム本体。下流側から見るとツタが生い繁り、まるで宮崎駿の「ラピュタ」に出てくる廃墟のよう。周辺の自然と見事に調和しています。でもまだちゃんと現役なんです。すごいことです。

 

May 17, 2019
F3塗装作業その後

月曜日に足場が撤去されました。以下、完成写真です。

 

綺麗に塗れています!

 

近くの桟橋から見るとこんな感じ。

 

東港に入港するクルーズ船からはこんな感じで見えることになります。背景にたっぷりの緑があるおかげでF3が引き立ってますね。

この塗装を見て「F3でお店をやりたい!」と手をあげてくれる会社や個人が出てきてくださることを祈ってます。

 

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