風景と地域づくりの
出会いと発見DIARY
景観研究室は、プロジェクトや研究を通じて、九州各地の風景・地域づくりに取り組んでいます。地域の人達と未来を語り合う、デザインについて現場で喧々諤々議論する、素敵な風景や食文化を見つける、地域の人達との長いお付き合いが始まる…風景・地域づくりの中で、たくさんの出会いや発見、感動が生まれる毎日。そんな景観研究室の日常をお伝えしていきます。
March 18, 2014
俵ヶ浦トレイル・サイン製作及び設置ワークショップ(前編)【佐世保/裴】

〜俵ヶ浦トレイルサイン、
地元住民と米海軍異例のコラボにより
遂に設置作業開始…!!

平成25年度も終わりに差し掛かり、研究室も慌ただしさを増して来ました。
しかし、年度中頑張って来た取り組みが、いよいよ実りを結ぶのを見れるのはとってもわくわくすることで、それがモチベーションとなり、研究室のメンバーが一丸となって年度末のピークに立ち向かっています。
佐世保・俵ヶ浦町での取り組みは、
「俵ヶ浦トレイル」の道標製作及び設置を今年度の目標とした
地域住民主体の活動を、私たち景観研が手伝わせて頂きました。
投稿の始めに挙げた写真にある情景を実現させるために、
本当に多くの方々(特に俵ヶ浦町住民の方々)から多大なるご協力を頂きました。
今は感謝の気持ちで一杯です。
今回の投稿から、2月と3月に俵ヶ浦町で行われた二回のワークショップの様子を、
詳しくレポートして行きたいと思います。
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【2月15日サイン製作ワークショップ】
@俵ヶ浦町公民館 10:00~16:30
前回の投稿で紹介した
佐世保のローカル紙「ライフさせぼ」で取り上げられたのがこのワークショップです!
俵ヶ浦トレイルに設置する予定の道標を景観研がデザインを予め行い、
サインを作る材料を全て調達した上で、
実際の道標製作は俵ヶ浦町内のみなさんで楽しくやっていただこう、
という趣旨のワークショップでした。
道標の種類は、
「駐車場誘導」「トレイル案内地図」「目的地誘導」「通行止め」「車両進入止め」「目的地説明看板」で、
全6種類あります。





道標に使う木杭、木板は佐世保観光コンベンション協会の方に手配していただきました。
木板は製材もしっかりされており、私たちの準備作業もぐんと楽になりました。
さて、ここからの作業は地域の方でも要領さえ分かればすぐにできる内容です。
手順としては大きく三つに分かれており、
「ステイン(木材の防腐剤)を塗る」→「ルーターで文字を掘る」→「掘った文字にペンキで色を付ける」
があります。
また、駐車場の誘導看板にある大きな「P」の字やトレイル案内地図の俵ヶ浦の地形はルーターで掘るには文字が太すぎるので、
3mm程の板材を切り抜く作業も入ってきます。
作業を地域の方にやって頂く理由としては、
・自分たちで作った道標に愛着が涌き、維持管理を地元で行う意識を持ってもらう
・作業手順に慣れてもらうことで、看板を今後取り付け直したりする際に、自分達で出来るようにする
の二つが考えらます。
よって、なるべく作業の全体を地域主体で出来る様にワークショップを企画していたのですが、
一番始めに木板に塗るステインは、木に染み込ませるまで時間がかかるため、
これは九大の木工室で作業を行いました。
今回は「ダークオーク」という色のステインを使いました。
ハケで木板に満遍なく二度塗るという単純作業なので、特に地域の方に作業を体験してもらわなくても大丈夫でした。

こんな風に仕上がります。
ステインの匂いがきついため、研究室で塗っていたら大変でした。
ここからの作業は当日地域のみなさん主体で行っていきます。
ワークショップの効率を上げる為、そして手持ち無沙汰になる人が出ない為に、
全ての作業が同時進行できるように準備を進めていきます。

すぐに色塗りの作業に取りかかれる様に予め文字を掘っておいた板も用意しておきます。
さて、当日の準備がバタバタではありながらも進んで行き、いよいよワークショップ当日。

現地では午前中天気があまりよくなかったため、
当初予定していた屋外の作業場所から公民館まで移動しました。
「ルーターチーム」「ペンキチーム」「手ノコチーム(板材を切り抜くチーム)」の3チームに分かれ、
いよいよ作業スタートです!

午前中集まっていただいた地元のおじさん・おばさん達は手先が器用な方ばかりで、
初心者にはすこし扱いが難しいルーターの作業も、
すぐにマスターしてしまいました!

手ノコの作業も難なくこなしていきます。

ペンキで色を付ける作業はおばさん達が丁寧にやっていました。
料理が上手なだけあってこういう細かい作業はお手の物です。

始めてのルーター作業でここまで綺麗な文字が掘れるとは!
「自分たちの力でもこんなにいい道標が作れるんだ」という自信に繋がったのではないでしょうか。

地元のおばさん達による美味しいおはぎを頂き、
楽しいランチタイムを過ごしたのち、
遂に本日のスター・俵ヶ浦の子供達が登場!
最初は少し緊張していたようでしたが、いざ作業にとりかかると…


みんな生き生きと作業をしていますね!
大人達がビックリする程飲み込みが早く、ルーターの作業もすぐになれてしまいました。

地域の大人も子供も一緒に汗を流して地元の道標を作る作業風景、
素晴らしい絵を見せていただきました。
奥の方には、制作した道標がどんどん並べられていきます。

休憩時間でも体を動かし続ける子供達。
行徳さんとスリッパサッカーを繰り広げる背景には、
俵ヶ浦トレイルのマップ製作作業を淡々とこなしていく景観研OB・佐藤さん。

一方、九大トラックは次のワークショップで道標の設置を行うために、
道標の支柱の材料となる丸太を引き取りに行きました。
なんと当地の間伐材を分けて頂く事になり、
俵ヶ浦トレイルの道標製作で使用した木材は、全て地場産の物となりました!
楽しい一日があっという間に過ぎていき、
最後はみんなで作業をした成果の前で記念撮影。

とても初めて作業をする人達による道標製作とは思えないような
素晴らしい出来のサインが16枚も出来ました。
ワークショップの途中では、
俵ヶ浦町の近くの町からも見学に来られた方、ワークショップの様子を取材に来られたローカル紙の記者の方等もおり、
波及効果も十分だったと思います。
今後この様な取り組みが佐世保の各町内で繰り広げられるような展開になったら願ったり叶ったりです。
その日は一ヶ月後に地域のみなさんが作った道標を現地に設置することに期待を膨らませながら、
佐世保を後にしました。
僕自身にとっては研究室で初めてプロジェクトマネージャーとしてワークショップを企画から作る経験だったので色々と不手際が多く、様々な方にご迷惑をお掛けしましたが、
同時にプロジェクトマネジメントについてたくさんのことを学ばせていただけました。
最後までご指導ご鞭撻いただいた関係者のみなさん、研究室メンバーのみなさん、
本当にありがとうございました!
(3月15日WSレポート(後編)へ続く)

January 11, 2014
サイン設置箇所下見・杭打ち【佐世保/裴】

遅ればせながら、新年あけましておめでとうございます!
2014年も九大景観研をどうぞよろしくお願い致します。
新年早々、学生達は卒論や修論で大忙しですが、
プロジェクトの方では特に慌ただしい動きは無く、
着々と進んでいる状況です。
そんな中、佐世保・俵ヶ浦半島トレイル整備事業は、
11月・12月のワークショップを通して、
トレイルルート及びサインの検討を行いました。
そのワークショップの様子を捕えたショットを一枚どうぞ!

俵ヶ浦町の方達が地図を囲んでトレイルルートの検討をしているところですが、
ご覧の通りもの凄い熱気です。
これは11月ワークショップの一景で、
12月では学生が作ったコンター模型とサインのモックアップを元に、
トレイルルートにおけるサインの設置箇所を決めました。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、
今年の俵ヶ浦半島トレイル整備活動は、
ワークショップで決まったサインの設置箇所を現地にて
まず九大景観研が確認し、目印の杭を打つところから始まります。
地域にはご高齢の方が多いので、
まずは九大のみで杭打ちの作業をし、
後日地域の方に確認していただきます。
そんな訳で、1月9日木曜日、
雪が降るかもしれないと予報されている中、
佐世保・俵ヶ浦半島に向け出発しました…

なんと幸運にも最高の天気に恵まれ、
絶好のハイキング日和。
少し単調でしんどい作業でもテンションが上がります。

杭打ちの作業風景。
地図にプロットしたサインの設置箇所を現場で見て、
状況に合わせて最適なサイン設置箇所を決めます。
杭(サイン)が車に引っかからない様に車道から少し離してみたり、
できるだけ私有地に入り込まない様に注意して設置箇所を決めていきます。
マップづくりでお仕事に来ていた景観研OB・佐藤さんにもお手伝いいただきました。
樋口先生と榎本さんと僕でマンパワーが足りなかったので非常に助かりました!
ありがとうございました!

杭には、後から地図と対応し検討出来る様に、番号を振っていきます。
全部で31本の杭を打ったので、31のサインを作成することになります。
怪しまれない為に「九大」と杭に書いておきます。

素晴らしい景色が広がる場所がいくつもあったとても魅力的なトレイルルートでした。
起伏もなだらかで、約4kmと適切な距離。
サインの設置箇所は、写真の邪魔にならないような配慮も行いました。
上の写真にあるサインの設置箇所(青色の杭)については、
榎本さんが「これは写真を撮る邪魔になる」と抗議しましたが、
樋口先生は「写真に撮られるようないいサイン作ればいいじゃん!」
ということで暫定的にはその場所に決まりました(笑)。

サインの中には、地面に打ち込む(埋め込む)タイプのものだけではなく、
木や電柱に付けるタイプの物もあります。
木にサインを付けることを示す一枚。
先生のハンマーを構えるポーズ、キマってます。
このように、およそ2時間半かけて、
全てのサイン設置予定箇所に杭を打つ事ができました!
よい天気、よいトレイルルートに恵まれて、
とても気持ちよく仕事できたと思います。

杭打ち作業が始まる前に佐世保観光コンベンションセンターの方とサイン製作、設置の打ち合わせも行いました。
これから2月、3月でサイン製作の作業を進めていき、
地域の方と一緒に設置を行います。
とっても楽しみですね!

October 22, 2013
展海峰コスモスウォーク【佐世保/鍜治】

10月20日(日)、佐世保市俵ヶ浦にて開催されました「展海峰コスモスウォーク」に参加してきました。
展海峰は九十九島を一望できる展望台がある展望公園です。
他にも、この公園は秋のコスモス畑が有名で、1haにも及ぶコスモスを楽しむ事が出来ます。


このイベントは俵ヶ浦開発協議会の主催で、今年で10回目の開催となります。
今回のコスモスウォークには地元の小中学生をはじめ、100名近くの方が参加されました。
参加者のほとんどは地元の方ですが、中には俵ヶ浦の外から参加している方もいました。
初めて参加される方は10名程度で、参加者の大半がリピーターのようです。
コースの全長はおよそ7kmで、海有り山有りの起伏に富んだコースとなっています。
歩破するには、早い方で1時間半、ゆっくり歩かれる方で2時間程度かかります。
参加者全員で念入りに準備体操をした後、いよいよ出発です。

歩く時には、道の状態とそこから見える眺望をチェックしながら歩きました。
下の3枚の写真は、ウォーキング中に撮った写真です。
これは庵の浦の竹林の中を通る道です。森林浴をしているかのような気分になります。


野崎町の丘の上からの風景です。遠くには針尾送信所(3本の塔)が見えます。

ルート沿いからはこのように九十九島を一望できるところもありました。

道は緊急時に備えて、車が駆けつけられるように道幅のある舗装されている道が設定されていました。
また、サインは無く、迷いそうなところにはスタッフの方が案内をしていました。
展海峰を出発してから2時間後、再びゴール地点の展海峰に戻ってきました。
僕が到着したときには、8割近くの方がゴールをしており、
ゴールされた方々の顔を見ると、どこかしら達成感・満足感を感じられているようにみえました。
初めてウォーキングイベントに参加しましたが、
心地よい天気の中、遠くの海、農村風景、道路端に咲く花を見ながら、歩くのは大変気持ちの良いものでした。
また、初対面の方同士が会話に花を咲かせながら歩いている姿を見ると、
このイベントが新たな「人のつながり」を作るいい機会になっているようにも感じました。
俵ヶ浦開発協議会をはじめ、ぜんざいを出してくれた地元の方々、本当にありがとうございました。

October 19, 2013
俵ヶ浦町老人会【佐世保/鍜治】

10月15日(月)に俵ヶ浦にお邪魔させて頂き、俵ヶ浦町老人会、俵ヶ浦8町内会議に参加しました。
この記事は参加した2つの会のうち、俵ヶ浦町老人会の記事になります。
俵ヶ浦町にて俵ヶ浦町老人会が行われるという事で
九州大学景観研は地元の方にお話を伺いに老人会の方に顔を出させて頂きました。
老人会の方に来られていた地元の方は20名近くいらっしゃいました。
先日、行われました顔合わせ会でも地元の方の熱気に圧倒されましたが、
今回の老人会でも、同じように熱気溢れる会になり、話を聞く学生は圧倒されるばかりです。
前回の顔合わせ会でお会いした方達よりも一世代上の方々でしたので、
前回よりも歴史にまつわる話をたくさん聞く事が出来ました。


いろいろな話をお聞きしました。以下はその一部です。
・丸出の石積みは島原からの石工が来て施工をした。砲台の建設作業は韓国人にも手伝わせていた。
・高後崎にはカマボコ型をした米軍兵舎があった。そこの米軍兵の家事手伝いを地元の日本人女性がしていた。
・現在の俵ヶ浦近辺には跡は残っていないが、隧道の弾薬庫がいくつかあった。
会の終わりの頃には、
老人会会長の佐野さんから「実際に見に行った方がいいから、今度一緒に歩こう!」と声を掛けて頂きました。
大変ありがたいお誘いです。次に俵ヶ浦に行く機会がありましたら、ご一緒させて頂きたいと思います。

今回聞いた話は文献では出てこないような話がほとんどです。
当時生活されていた方から話を聞く事で情報に付随して、
感情・思いも伝わってきて当時の情景がよりイメージしやすいように感じました。
また、このような話をしっかりと次世代の子供たちのためにも、
文章としてしっかりと残しておくことが大切だと思いました。
俵ヶ浦町老人会のみなさん、貴重なお話を聞かせて頂きありがとうございました。

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