風景と地域づくりの
出会いと発見DIARY
景観研究室は、プロジェクトや研究を通じて、九州各地の風景・地域づくりに取り組んでいます。地域の人達と未来を語り合う、デザインについて現場で喧々諤々議論する、素敵な風景や食文化を見つける、地域の人達との長いお付き合いが始まる…風景・地域づくりの中で、たくさんの出会いや発見、感動が生まれる毎日。そんな景観研究室の日常をお伝えしていきます。
March 31, 2012
唐津東港転落防止柵、完成【唐津/深川】




唐津東港で起きた、あの悲しく不幸な事故からちょうど2年。
事故現場の臨海公園の岸壁に、このたび転落防止柵が設置されました。
事故後すぐに転落防止柵の設置は決まりました。
しかし、どのような転落防止柵を設置するかについては、事故現場を含む東港一帯が港湾エリアの賑わい・交流の拠点となるように、今もなお整備が続けられている場所であるため、唐津みなとまちづくり懇話会の中に「みなとの安全・安心計画会議」という委員会が組織され、これまでの唐津のみなとまちづくりの経緯を踏まえた中で慎重に議論が進められてきました。
議論の末に設置されたこの転落防止柵は、決して物理的に人が岸壁から海に転落することを防ぎきれるものではありません。
しかし、唐津市民や来訪者がたくさん集まり、親しみを持って頂けるような開かれた港づくりを進めている中で、釣りや散歩などを楽しむ利用者に「港・海に近づいてはいけない」というような印象を強く抱かせるものではなく、「ここから先は危ないので気をつけてください」というような注意喚起を促す程度のものがこの場所には適切だと考えられました。
また、注意喚起を促す転落防止柵だけではなく、万が一転落者が出た際に他の利用者が瞬時に救援できる救命浮環の設置や、岸壁側の利用者に視線を向けられるベンチを配置するなど、港の空間全体で事故に向けた備えを設けておくことことが重要だと考えられました。



製品に関して、素材はボラード(支柱)のキャップ、ベース部に鋳物、支柱の構造部には木材(八女産杉:エコアコール処理)が使用されています。異種材料による製品であるため、鋳物製品の製造・販売する昭和鉄工(株)と、木材の防腐技術を有する九州木材(株)と九大が共働し、製品開発を進めてきました。一見単純に見える構造ですが、ディテールにはデザイナーとエンジニア、そして素材を加工する職人の知恵と技術が詰まっています。(6枚目の写真は製品完成後に撮影した共働開発者の集合写真)
チェーンは、昨年度退役した唐津海上保安庁の巡視船「まつうら」のものが使用されおり、退役してもなお唐津の海を守り続けている役割を果たしてくれています。
今年度は予算の都合上7基(約25m)の設置となりましたが、来年度以降も整備が継続され約320mに延伸する予定です。さらに、前述した救命浮環やベンチの設置も予定されています。
あの事故から考えさせられた臨海公園の安全面の地域での認識が、今後の賑わい・交流の拠点づくりのさらなる発展につながっていければと思います。

March 16, 2012
はつり作業【筑後川瀬ノ下地区/平野】

瀬ノ下ではつりの作業に行ってきました。
ここでは元々、川へのアプローチとなっていた石畳に御影石が使用されていました。
その石畳は今回の工事で取り壊し、御影石は処分することになっていましたが、
今後の整備の際、河川敷に石を並べ、道として再利用しようという話がありました。
そこで、研究室のメンバーで再利用できるよう、御影石についているモルタルを取り外す作業をしました。


ハンマーでモルタルを叩いて外していきました。
コツを掴めば軽く叩けば取れるものです。


お忙しい中、河川事務所の方々も手伝って頂きました。
本当にありがとうございました。
道とする際に個数が足りるか確認するため、モルタルを取った石を並べていきました。
以前、石畳として使われていた面は滑り止めの穴が彫られているため、裏側のきれいな面を利用します。


作業はスムーズに進み、いい感じに道になりました。
石は値段も高い素材で、購入しようとすると費用が多くかかります。
あるものを使うのはコストはかかりませんが、
再利用するということは、手間がかかり大変だということを実感しました。
しかし、苦労した分いいものができると考えるとうれしく思うのは僕だけでしょうか。
この研究室メンバーで集まって作業するのもこれが最後だなぁと思いました。
卒業式まで残りわずかです。

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