風景と地域づくりの
出会いと発見DIARY
景観研究室は、プロジェクトや研究を通じて、九州各地の風景・地域づくりに取り組んでいます。地域の人達と未来を語り合う、デザインについて現場で喧々諤々議論する、素敵な風景や食文化を見つける、地域の人達との長いお付き合いが始まる…風景・地域づくりの中で、たくさんの出会いや発見、感動が生まれる毎日。そんな景観研究室の日常をお伝えしていきます。
July 16, 2012
コアセミナーを終えて【コアセミナー/平野】

最後にコアセミナーを終えて、
私が思うことをここに記したいと思います。
このコアセミナーではTAとして一年生たちに教える立場になりました。
いま一番考えるのは、この3ヶ月を通して彼らが費やした時間に見合うだけのことを彼らに与えることができたのか、ということです。
振り返ってみると思った通りにできなかったことが多かったです。
スケジュール調整が上手くいかなかった件もですが、
それ以上に一番反省しないといけないのは、
一年生たちにこの授業でこういったことを理解してもらおうと思ってはいても、
それが実際はできていなかったことです。
初めの頃はベンチを期日までに作らないといけないことに頭が一杯で、一年生を教えるという姿勢が足りなかったように思います。
その結果、初めの頃は授業の中身が薄かったように感じます。
私が常々意識していることとして、「どんなに思いを伝えようとしても、それを受け取る側に思いを受け取ろうという気持ちがないと伝わらない」ということがあります。
これまで私は受け取る側の立場で色んな方のおっしゃることに耳を傾けていました。
しかし、伝える側に立った時も意識して考えないといけません。
元々私はそういったことが得意じゃなくコアセミナーの件だけに限りませんが、
相手に理解してもらえるためには、伝わるようにするためにはどうしたらいいのか、何事も考えないといけません。
一年生にわかってもらえるような授業をしないといけないと思ってからも
授業の方法も含め、まだまだこうすれば良かったと思うことは多くあり、
今回は自分の納得いく程うまくできなかったです。
今回のコアセミナーは嫌な経験が多くありますが、
これを無駄にしないようにしないといけません。
このコアセミナーを通して経験した嫌な思いはもうしたくありません。
そんな中でも無事にベンチができたことは一安心です。
一年生たちもベンチを苦労して作ったので達成感を感じることができて良かったです。
津君、藤岡君、渡辺君、マーティン、お疲れ様でした。
これからベンチの設置ですが、考えないといけないことがまだいくつかあるので、
同じような失敗はしないよう工夫して取り組みたいと思います。
そして、最後になりましたが、
このベンチを作るにあたり栗原木材店(株)様、九州木材工業(株)様には大変お世話になりました。
特に栗原様、内倉様には何度も電話のやり取りをしていただき、
私のような不束者とのやり取りでご迷惑をお掛けしたこともあったかと思いますが、
快くご協力していただき、お二方には大変感謝しております。
皆様のご協力なしにベンチを作ることはできなかったです。
一年生たちにとってもベンチを組み立てることを通して良い体験ができたと思います。
本当にありがとうございました。
今後もこのような機会がありましたらご協力よろしくお願い致します。

July 13, 2012
コアセミナー発表会【コアセミナー/平野】

コアセミナーの発表会がありました。
例年通り、パネルを展示して説明するものです。
作ったベンチ2基も展示し、座ってもらったり触ってもらいながら説明しました。
先生からのするどい質問もあったようですがしっかり説明していました。
ただ、今年の投票では上位にならなかったのが残念でした。
しかし無事にベンチが組みあがり発表ができて一安心です。
津君、藤岡君、渡辺君、お疲れ様でした!

July 9, 2012
G30発表会【コアセミナー/平野】

ベンチも完成し、コアセミナーの最終回は発表です。
マーティンはG30(Global thirty)という留学生向けの建都のクラスの一年生です。
マーティンはG30のクラスのコアセミナーを受講していました。
G30の発表はプレゼンテーション形式で、先生たちの前で英語で発表しました。
作ったベンチとパネルを前に置き、
地元佐賀県産の杉を使ってベンチを作った目的、エコアコール処理に関して、ベンチを唐津東港に設置することを主に説明しました。
マーティンは緊張しているようでしたが、前に置いたベンチを使いながらの説明は上手かったです。
他の学生と違って印象深い発表になっていました。先生方もエコアコールに関して興味深かったようです。
マーティン、お疲れ様でした!

July 6, 2012
ベンチ完成【コアセミナー/平野】

エコアコール処理を済ませたベンチの部材をいよいよ組み立てます。
今回の作業はベンチの組み立てのほかに面取りをしました。
面取りは人が角に触れても怪我しないように角をおとす作業です。
プロの大工さんが使う鉋を用意して少しずつ角を削っていきました。
そして、ベンチの背もたれに今回コアセミナーに参加した4人の名前を彫りました。
使い慣れないルーターを使って慎重に削りました。


組み立ては修正箇所が多く夜遅くまでかかってしまいましたが、なんとかベンチが2基完成しました。

これだけ苦労して作り上げたベンチ、1年生も達成感を感じたようです。
4人ともお疲れ様でした。
手伝ってくれた4年生、ありがとうございました。

July 2, 2012
石垣現場見学【行事/小川】

筑後川瀬ノ下地区の樋門及び護岸の石積み施工を行ってくださっている、
藤本石工の藤本さんのご厚意で長崎県で藤本さんが施工に携わられた現場を
見学させていただきました。
まずはじめに案内していただいたのが、
現在修復作業中の「旧出津授産場」です。

ここは、フランス人宣教師ド・ロ神父が私財を投じて整備した
福祉施設群で、
授産場、鰯網工場、マカロニ工場、敷地内の塀、石垣、石段が
国の重要文化財に指定されています。
藤本さんは敷地内の石垣及び石段の修復に関わられました。
昔の職人が積んだ積み方をできるだけ守るため、
石垣をいくつかのグリッドに分割したのちに
グリッドごとに現況をトレースし、
一つ一つの石に番号を振ってから一度解体し再度積み上げるという
気の遠くなるような作業をおこなって修復なさったそうです。
(公開前のため写真の掲載はできません)
その中で、石が破損している場合は形の似た新しい石に交換し、
強度が持たない部分については
現在の技術を使って補強を行っています。
ここでは、空積みであった箇所を練り積みにすることや、
アンカーボルトを使用して石を固定する方法等が取られています。
修復作業が終わり公開された際には内部まで見学したいと思います。
次に伺ったのが、
長崎市内にある「長崎山 清水寺」です。
こちらは平成17年から5年かけて復元作業が行われ
国の重要文化財に指定されています。
京都の清水寺は木でできた舞台が有名ですが、
こちらは石でできた舞台がひとつの特徴です。
藤本さんは石垣、石の舞台、及び本堂の基礎部分
に使用されている石材の復元に携われました。
ここでは、基礎部分等で不足している石材があったため、
現場の寸法に合わせて新たな石材を用意し復元なさったそうです。
さらに、石垣の石は割り方も当時に倣い、
ドリルを使わない手法で行っています。

住職の奥様にもお話を伺い、
昔の境内の様子や、石の舞台からの風景の変化まで教えて頂きました。
最後には、石材の丁場(石切り場)も見学させていただきました。
山から切り出してきた大きな石を
一つ一つ手作業で間知石に加工していく様子を職人さんに
教えて頂きました。
ハンマーだけで既定の大きさ・形に加工していく
技術力の高さに職人のすばらしさを感じました。

今回の現場見学ではお忙しい中一日時間を割いていただき、
ご案内していただきました。
「古い石積みを修復していく中で、昔の職人との対話ができ新しい発見がある。
手間はかかるけれど、貴重な経験ができる。」
とおっしゃっていたのが印象的でした。
真摯に過去と向き合う姿勢が不可欠なのだなと感じました。
今回は貴重な機会を与えて頂きありがとうございました。
また、各現場で御説明いただきました皆さま、
ありがとうございました。

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