風景と地域づくりの
出会いと発見DIARY
一般社団法人LSDは、プロジェクトや研究を通じて、九州各地の風景・地域づくりに取り組んでいます。地域の人達と未来を語り合う、デザインについて現場で喧々諤々議論する、素敵な風景や食文化を見つける、地域の人達との長いお付き合いが始まる…風景・地域づくりの中で、たくさんの出会いや発見、感動が生まれる毎日。そんな日常をお伝えしていきます。
July 17, 2008
第22回市民部会と河川敷のその後【遠賀川/伊東】

第22回「遠賀川を利活用してまちを元気にする市民部会」が行われました。
昨年度までで河川敷の改修がほぼ完了し、「まちを元気にする」舞台は整いました。
今年度は、整備された河川敷を利活用して「まちを元気にする」ために、今後どのような取り組みを行っていくか?について部会参加者の方が中心となって考えて行く予定です。
早速先月行われた第21回市民部会において、部会参加者が主体となって企画・運営するイベント(遠賀川フェスタ)を今年度行うことが決定されました。
遠賀川フェスタのテーマは、「直方の人が楽しめて、直方を大切にするようなもの」「直方のいいところを体験でき、知ることができるもの」「10年、20年先まで続けることを考えて、今年は自分たちでできる範囲の小規模なイベントとし、次第に大きなものにしていく」になりました。
具体的な実行内容(暫定)は、
①直方産の木を使って子供が楽しめるアスレチックをつくる
木の登り方や、木の切り方なども教える
②直方の歴史を紹介する
直方の近代化遺産の写真パネル展
歴史にまつわるクイズ大会
③直方の子供たちが環境について考えた作文や絵画を展示する
直方の高校生主体のファッションショー
④直方と同じ炭鉱の歴史を持つウェールズの歴史やまちづくりについて紹介する
⑤柿の葉すし、石炭を使った料理など直方ならではの食を体験してもらう
上記のような内容を部会参加者が企画し、それにかかるお金の捻出方法も考え、当日の設営も自らで行うという、何ともパワフルな取り組みです。
なお、2008年「遠賀川フェスタ」の開催予定日は10月19日(日)です。
興味のある方は、是非お越しください。
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市民部会が始まる前に昨年度改修した河川敷を見てきましたので、状況をお知らせします。
まずは左岸の駐車場です。(工事風景は平成19年12月~平成20年3月をご参照ください)

改修前の駐車場を対岸から撮った写真。
切り立った護岸と駐車場を隠すように河畔林が生えていて、ここだけ閉鎖的な印象でした。

改修後の駐車場。
護岸をカットして、川の流れを阻害していた河畔林も切って、開放的な駐車場になりました。
車が少ない時に遠目から見ると、駐車場という印象はほとんどなく、多い時でも連続的な河川敷風景の一部に車が申し訳なさそうに止まっているという印象になって、しめしめです。

改修前の駐車場の水際線。
駐車場に行くにつれて地形が盛り上がって、不連続で異様な地形になっているのが分かると思います。
河畔林が生えていて分かりにくいですが、その下にはコンクリートブロック護岸が隠れていて、水辺に近寄れませんでした。

改修後の水際線。
平成18年に改修した手前(上流側)の芝生の緩傾斜河川敷と連続した地形になっているのが分かります。
護岸をカットし河畔林を切ったことにより、水に触れることができるくらい水辺に近寄れるようになりました。

上流側河川敷から改修前の駐車場を撮った写真。
堤防(左手)から水際(右手)まで駐車場がわが者顔で居座っていました。
上流側と下流側の河川敷が、この駐車場で完全に分断されていました。

河川敷全幅に対する改修後の駐車場幅。
なるべく堤防に駐車場を配置し、川側に芝生スペースをとり、そこに既設の上流側のプロムナードを連続して通しました。
河川敷利用者に川側を通ってもらいたい、歩行者動線と車動線の交差をさせたい、という思いでこのような関係になりました。

堤防上から改修前の駐車場を撮った写真。
上流側の河川敷の地形や川の流れを無視した駐車マスの配置で、ここが川であるということが分かりにくい状況でした。
切り立った護岸であった故に水面も見えませんでした。

改修後の駐車場。
川の流れに沿った形で3列の駐車マスを配置しました。
護岸を切ったことにより、水面が見えるようになりました。

改修後の駐車場の水際を上流側から撮った写真。
中央付近に轍(わだち)が出来つつあります。
やっぱり、人は「水際を歩きたい」という思いを持っていることがこれで分かります。
バリアフリーな公園にするために、最初から緑地の中に無造作にハード舗装を入れ込んだ公園をよく見かけます。
しかし、利用者の行動パターンを熟知せずに整備してしまった場合、その舗装は利用されないただの風景を阻害する要因になってしまう可能性があります。
そうなることを懸念したので、遠賀川では最低限のプロムナード舗装だけをまず整備して、しっかりとした轍ができた後、プロムナードと同様のハード舗装をその轍のラインに合わせ整備する予定です。
続いて右岸です。(右岸の改修前後の変化はhttp://project237.exblog.jp/7577780/をご参照ください)

5月25日に今年のカヌー教室の開校式が行われました。
一昨年(http://project237.exblog.jp/3225010/)に比べて広くなったカヌー乗場になって、新しくできた石積み護岸に座って見物する人、ベンチに立ってカメラを構える人などなど、様々な使われ方がされていて、しめしめです。

僕らも手作りのカッコイイ木のカヌーに乗せてもらって、ちゃっかり楽しんできました。

ウッドウォークも馴染んできました。比較のために2ヶ月前のウッドウォークの写真と、参考までにウッドウォークのデザインスタディの様子を下に載せています。

2ヶ月前の威張り気味なウッドウォーク。

枕木をホームセンターで買ってきて大学の駐車場で、敷間隔を数パターンスタディ。

泥の堆積状況。
川は奥から手前に流れているのですが、やはりこういったところに泥が溜まるんですね。
高水後の掃除の手間が省けるように、なるべく泥が溜まらない設計をしたんですが…
今後も、市民部会の動向と河川敷の利用状況をお知らせします。

April 17, 2008
第18回市民部会【遠賀川/筒井】

4月10日(木) 第18回市民部会
今年度第1回の市民部会.
新たなメンバーが加わり,また新しい雰囲気の市民部会になりました.
4年生は配属されて早々のプロジェクト参加です.
完成したばかりの河川敷では人がわさわさ.
これからはまちづくりと絡めて
遠賀川をどう利用していくかというのを考えていかないといけません.

直方市は現在チューリップフェアの真っ最中ということもあり,
チューリップを中心とした議論が展開されました.
市民部会が結成された当初からまちづくりといえば
このチューリップフェアをどうしていくかの議論はたびたびされてきました.

オートキャンプ場の美化のために植え始めたことをきっかけに
今となっては立派なイベントへと変貌したチューリップフェア.
存続の危機に立たされている現在,
議論を聞いていると10数年という時間の経過によって
市民にとってチューリップフェアは大切なイベントとして
位置づけている人が多いんだなと感じました.
遠賀川の河川敷も10年のときが経てば
市民に愛着をもたれる空間になってくれるのだろうかと勝手に思ってしまいました.
他にもさまざまな話題が出ましたが,意見をまとめて
実効性あることから実行していくのではないかと…

March 25, 2008
遠賀川施工現場【遠賀川/伊東】

今年度、研究室で設計をお手伝いした遠賀川直方地区河川敷の施工現場に行ってきました。
工事は、右岸:カヌー乗場、左岸:駐車場ともに、残すは芝張りと舗装くらいで、ほとんど終わっていました。
まずは右岸です。

整備前、上流側の沈下橋からカヌー乗場を見ることはできませんでした。

整備後、コンクリート護岸を水面まで近づける階段護岸にすることによってカヌー乗場が見えるようになり、一体的な空間になりました。カヌー乗場まで行ってみたくなりませんか?

整備前、カヌー乗場はコンクリート護岸に囲まれていて、そこだけが目立っていました。

整備後、全体的に水面まで近づけるような構造の護岸となり、カヌー乗場が周辺に溶け込むようになりました。

伸びやかな開放感のある広場になりました。

吉岡君がこだわりを持って設計した木のベンチ。木の座面と石積みとの隙間が気になったようですが、満面の笑みを浮かべています。

今年度下流側の工事の終わり方。いつでも下流側に工事ができるように連接ブロックで留めています。まだまだ続くようです。

テープで囲んであるところは、カヌー乗場の使用上の注意を書いた看板を設置する場所です。

設置するのは木の看板です。出水時の流下物で壊れないように、あえて少し厚めの板と太めの支柱を採用しました。
続いて左岸です。

整備前、市民の憩いの場であるはずの河川敷に駐車場がわがもの顔で横たわっていました。

整備後、駐車場は申し訳なさそうに堤防側に隠れるようなかたちにしました。川側は利用者が自由に使える芝生広場になっています。

梅雨時期には一面芝生の緑で覆われ、いい感じになると思います。こんな駐車場見たことないです。

駐車場の上流側には以前からあった”丘”をそのまま残しました。向こう側の広場が見えないでしょう?ということは、向こう側で遊ぶ人たちから車が見えないということです。

駐車場へ降りる入口に立つ仮設の管理小屋。あくまでも仮設です。次年度、ここにログハウス風の管理小屋を設計する予定です。
今は、とりあえず”できた”段階です。
事故なく利用されるかどうか?
河川空間の中で主張し過ぎないかどうか?
今後はカヌー乗場の利用状況や駐車場の風景への溶け込み状況をお知らせします。

March 4, 2008
遠賀川施工現場【遠賀川/吉岡】

卒論発表も昨日無事終わりホッとしたのも束の間、直方の施工現場を訪問。
天気に見放され、寒いのなんの…。
-右岸-

階段護岸、石積護岸が完成し、地形を整形中。

(今年度事業での)石積の終端は、前回使用した連結ブロックを再利用して処理。
見ただけで、工事が次年度以降も続くんだな…と思わせますね。

カヌー乗場への連絡通路。(導流堤の上から)

煉瓦構造物もあとは係船環をつけるのみ。

沈下橋の橋台部付近の流れは、やはり渦をまいてました。
※宿題→平石の割り付け図(沈下橋周辺)
-左岸-


駐車場の緑化ブロックが敷き始められました。

既存の護岸ブロックの上から盛土した土羽護岸にも芝が張られていきます。

駐車場へのスロープ。形が見えてきました。

February 14, 2008
雪解けの現場【遠賀川/吉岡】


080213北九州・筑豊地方には雪が降り、遠賀川リバーサイドパークもうっすらと雪化粧。
翌日、現場を訪れたときのご報告。

まずは左岸駐車場。プロムナードより低水路側の芝張が終わり、駐車場路盤の基礎工事をやっているところ。堤防への盛土は一気に完了しそうな状態。

駐車場の水際を通るプロムナードも、もうすぐ土系舗装が入る段階。堤防の真下にあるプロムナードへすりつくため、4%勾配で緩くカーブしながら丘を登っていきます。以前の線形修正が効いて、曲線もスムーズになりました。

今日一番のもめどころ。盛土上にできる平場と歩道の間にコンクリートの段差ができることが問題としてあがりました。平場のレベルを上げるか、そのまま段差を跨いで入るようにつなぐのか。結論として、平場の管理棟内にバリアフリートイレができることも考え、レベルは歩道と同じとしてコンクリートの段差を横断歩道の延長部2mだけ切り欠いて、車椅子がフラットにアクセスできるようにすることに。あとは、切り欠くことが水防上クリアできるかの協議次第です。

つづいて右岸カヌー乗場周辺。石積が全体的にほぼ立ち上がり、護岸・散策路・沈下橋とそれぞれ急ピッチで施工が進んでいます。昨年までの連結ブロックで囲まれたカヌー乗場の狭苦しさはもはやありません。対岸からは石積の法肩ラインがきれいに下がりながら広がっていくのが確認できます。

以前に、丁張の時点でカヌー乗場からの見通しとそこでの囲繞感とのバランスを考えながら石積の線形を調整しました。座面となる上面の面積をを大きく確保するため特殊な形にカットしてもらった小段の天端石も丁寧に積まれていました。現在、2段目の途中を積みあげ中。

小段はちょっとした休憩に腰掛けられるよう設計。仕上がりは勾配、高さともに問題ないことを確認しました。掘り込んである部分には、ウッドデッキの座面を設置予定。

既設護岸上へ階段護岸を打ち足す作業も進行中。

無表情になりがちなコンクリート護岸へのアクセントとして設けた構造物。この後、周りに煉瓦が張られ、天板石が乗ることになります。進捗が楽しみです。

散策路の縁に入る煉瓦積みも着々と接着中。

先週、設計修正をした階段護岸の付け合せ部。護岸が前に張り出した上流部は、沈下橋のピアを避けるように下段をカットして施工されました。ここは既設護岸が斜めに入っていて、直線で階段護岸を打つのが難しかった部分。構造物としての安全性を担保するため、関係者のみなさんの見えない努力がたくさん詰まっています。
報告の間隔が空いてしまったので内容が盛りだくさんでしたが、河川事務所・施工業者・意見を下さる住民の方々等々たくさんの人の協力の下工事が進んでいます。

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