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グリーンインフラ で自然の力を受け流す

グリーンインフラを

提案し実装していく取り組み

近年日本各地で起きている集中豪雨による災害や来襲する台風の大型化が地球温暖化のせいなのか…はっきりしたことはよくわかりませんが、自然災害の全てをコンクリートや鋼鉄で作った「ハードインフラ」で防ぎきることは不可能です。
 最近広まっている新しいインフラ整備の概念に「グリーンインフラ」というものがあります。コンクリートに象徴されるこれまでのインフラ(「グレーインフラ」という呼び方があります)の一部を、防風林、防潮林のような自然物で置き換えること、堤防をかさ上げするかわりに遊水地や雨水貯留施設などで洪水を抑制すること、限界に達すると壊れてしまうコンクリート構造物を木造構造物や石像構造物などのより柔軟なものに置き換え自然の力を受け流すこと等々、様々なアプローチが考えられつつあります。
 九大景観研では、地域の皆さんや専門家の方々と一緒に、二酸化炭素排出抑制にもつながる木材や石材の活用を常に考えてきました。今後も新しいアイデアの提案や実装(実際に作ってみること)をどんどん進めていきます。皆さんのまちや地域で「グリーンインフラ」的な取り組みをお考えでしたら、ぜひ一緒にやってみましょう!



平成25年島根県で発生した集中豪雨で土砂崩れが発生し、津和野町を走るJR山口線では線路敷きが流出してしまいました。


復旧にはコンクリートブロック積みではなく以前と同じ石積みを採用し、その結果SLが絵になる美しい石積み護岸が完成しました。九州から来てくれた腕の良い石工さんが、歴史的な石積み工法に従って壊れにくい護岸や階段を積んでくれました。
復旧した石積みの上を走るSLやまぐち号

唐津市の浄水場敷地に保管されていた多数の国産御影石の石柱。これらは以前松浦川に架かる橋の部材として使用されていましたが、新しい橋に架け替えられる際に撤去され、以来特段の目的もなくここに保管されていました。


唐津東港の船溜まりにある芝生広場。唐津みなとまちづくり懇話会と九大景観研はこれらの貴重な石材をなんとか再利用する方策を検討し、芝生広場の外周材として活用することにしました。

筑後川瀬下の石積み護岸。内部に遠隔操作のフラップゲートを装備した樋門が収められています。史実に従い、有明海対岸の諫早で採掘される小長井石を使用しています。コンクリートブロックでこの質感・味わいを出すことは不可能です。


遠賀川直方地先の高水敷で採用された石積み護岸。北部九州で採掘されている日田石を使用しています。谷積みとすることで強度を持たせています。

大分市の線路敷ボードウオーク広場で採用した線路に敷くバラスト(大ぶりの砂利)。線路のイメージに合う景観材料としてだけでなく、厚さ70cmの砂利の層が雨水貯留機能を持っています。


同じく線路敷ボードウオーク広場で採用した笠石。時間の力で風格の出たこれらの石は以前大分別府間を走る路面電車軌道の舗装石に用いられていたものです。石は何度も再利用が可能なエコな資材です。