ピンコロ石についても決まり、試験舗装の設計図を以下のように作成しました。
今年の取り組みで現況の歩道から変更した点は、以下の3点です。
・コンクリートの表面仕上げは設計通り木ゴテ仕上げにする。
・インターロッキングは粗さの違いを大きくするために溝切りインターロッキングを使用する。
・ピンコロ石の高さと施工方法を詳細に決めた。
試験は平成25年11月7日に行いました。
長崎市クリーンセンターをお借りして、これまでの三和バリアフリー歩道の開発に関わっていない多くの視覚障害者、車いす利用者の方々に歩いてもらい歩道の機能を確かめました。
次のブログは試験舗装の施工について更新します。
出会いと発見DIARY
ピンコロ石は9cm×9cmの割肌仕上げのものを使います。
【ピンコロ石の高さ】
1,去年の調査結果
去年は歩行調査とピンコロ石の高さ測定をしました。
①歩行調査の結果、ピンコロ石について、車いす利用者にとっては誘導用ブロックよりも走行しやすく、視覚障害者にとっては足裏・白杖ともにピンコロ石を認識できるという意見でした。
また、コンクリートとインターロッキング舗装の粗さの違いについて、視覚障害者は分かりにくいという意見でした。
②三和町に施工されているピンコロ石の高さを約30m分ノギスを使って計測した結果、コンクリート・インターロッキング舗装から凹凸の最大高さまでは平均して6.0mmという結果でした。
三和バリアフリー歩道は、線的に誘導する誘導用ブロックの凹凸(5mm)が車いす利用者にとって障害になるので、左右に違う舗装材を用いることで面的に視覚障害者を誘導して、車いす利用者も走行しやすい歩道を考えるという取り組みです。
去年の歩行調査の結果を振り返ると、視覚障害者はピンコロ石を誘導用ブロックの代わりとして歩いている状況で面的な誘導はできてなかったと考えられます。
2,今年の試験舗装の設計
今までの経緯と今年の設計の見直しを踏まえて、以下の点について考慮しました。
①ピンコロ石はもともとコンクリートとインターロッキングの粗さの違いだけでは認識できないかもしれないので補助的に設置したという経緯。
②コンクリートとインターロッキングの粗さの違いを大きくなるようなインターロッキングを選択したこと。
③誘導用ブロックのJIS規格の高さが5mm(+0〜1mm)であること。
④ピンコロ石を足裏や白杖で認識する要因はピンコロ石の高さでは無く、表面のランダムな凹凸である予想されるので、ピンコロ石の高さは5mm以下でも大丈夫だと考えたこと。
そして、以下のように設計図を作成しました。
【ピンコロ石の施工】
施工は、これまでの現況の歩道、試設計、唐津の水産埠頭線の施工手順を参考にして、ピンコロ石から先に施工してインターロッキング、コンクリート舗装をつくるやり方にしました。
車いす利用者に配慮して開発された溝切りインターロッキングですが、本当に車いす利用者の走行に問題が無いのか調査をしました。
その結果、溝切りインターロッキングを販売している会社では、加速度計を用いて振動が小さくなることを定量的に試験しているのですが、実際に車いす利用者に走行してもらい意見をもらっている試験があまり行われていませんでした。
そこで、視覚障害者の野口さん、坂丸さんから一番評価が高かったアートスルーを使い、実際に車いす利用者に走行してもらうテストを10月12日に行いました。
今回は九大伊都キャンパス近くの糸島市社会福祉協議会あごらに協力していただき、車いす利用者5名に90cm×120cmの舗装の上を走行してもらいました。
車いす利用者に走行してもらう際に、課題として予想されたのは以下の2点でした。
①進行方向と垂直にある溝を横断する際に振動は不快でないか?
②進行方向と平行にある溝に車輪がとられて方向転換しにくいことはないか?
調査の結果、5名とも①、②ともに問題無いという意見をいただきました。
また、アスファルト舗装と比較しても良い評価でした。
視覚障害者と車いす利用者によるテストの結果より、既成品の中で視覚障害者が一番コンクリートとの違いが分かりやすく、車いす利用者の走行にも問題無い溝切りインターロッキングの「アートスルー(太平洋プレコン工業)」を三和バリアフリー歩道の試験舗装に使用することにしました。
試験だけでなく、車いす利用者の日常生活で問題に感じているところやデイサービスについても教えていただいたり、実際に見ることはとても勉強になりました。
試験に協力していただいた方、あごらの職員の皆さまどうもありがとうございました。
新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
三和のブログの更新が大変遅れてしまいました。今年度の9月から年末までの取り組みを更新していきます。
9月にこれまで検討に参加していた全盲者の野口さんと弱視者の坂丸さんによる溝切りインターロッキングの選定を行いました。
溝切りインターロッキングはもともと車いす利用者の走行に配慮して誕生した製品ですが、普通のインターロッキングよりも粗く、視覚障害者がコンクリート舗装との違いを認識しやすいかもしれないと考え今回テストを行いました。
溝切りインターロッキングは、昨年度の調査後の話し合いの中で研究室OBの野口さんから教えてもらった製品で、2005年〜2007年にわんさかさんわで話し合いをしている時には存在していませんでした。
◆車いす利用者に対する溝切りインターロッキングの効果
インターロッキングやコンクリート平板を車いすで走行するときに、目地によって発生する振動が不快であることが論文等で指摘されています。溝切りインターロッキングは目地をできる限り小さくすることで振動を軽減して、さらに表面に目地と同じ幅の溝切りをほどこすことで一定期間毎に現れる不快な振動をなくした製品です。コンクリート二次製品のメーカーでは、規格の異なる様々な溝切りインターロッキングが発売されています。
▲溝切りインターロッキングとコンクリート平板の車いすによる振動比較
今回のテストは、用意した数種類の溝切りインターロッキングのサンプルとコンクリートとの違いを足裏や白杖で確かめてもらいました。
コンクリートとの粗さの違いが一番分かりやすい溝切りインターロッキングを三和バリアフリー歩道のインターロッキング舗装として使用することを検討していきます。
調査の結果、足裏で違いが分からないが、白杖では太平洋プレコン工業のアートスルーであれば違いが分かるという意見をいただきました。また、溝の方向は進行方向に対して、縦に設置すれば白杖を降る際に分かりやすいという意見でした。白杖の先端は幅15mm〜40mm程度のものまであるので、白杖の幅が大きくなるほど分かりにくいという意見でした。また、実際に歩行する際には違いが分かりにくいかもしれないという意見もいただきました。
アートスルーは用意した溝切りインターロッキングの中では溝の幅が4〜5mmと一番大きく、それ以下の幅ではコンクリートとの違いはわかりにくかったのだと考えられます。
次は、アートスルーが車いす利用者の走行に問題が無いかテストします。
昨年度で終了予定だった三和バリアフリー歩道の試験ですが、今年度も引き続き行います。
主な原因は僕のスケジューリングや調整力の無さです。
このプロジェクトへの理解が甘く、昨年度中に試験を全て終わらせることができませんでした。多くの人に迷惑をかけ、悔しい想いもたくさんしました。
今年度はやり残したことをしっかりやり終えて、住民参加で考えられたバリアフリー歩道の事後評価を完了したいと思います。
その結果として、この取り組みが屋外空間におけるバリアフリーの進展に貢献できれば幸いです。
これまで「三和ユニバーサルデザイン歩道」と呼んでブログで紹介してきましたが、これからは「三和バリアフリー歩道」と呼びます。
ユニバーサルデザイン・・・全ての人が使いやすいものを考えるという「考え方」
バリアフリー・・・ある対象者のバリアを取り除いた「事物や状態」
三和バリアフリー歩道は、ユニバーサルデザインという「考え方」のもと、視覚障害者だけでなく車いす利用者や足の不自由な高齢者にも配慮したバリアフリーな歩道「事物」ということになります。
ユニバーサルデザインは理想であり、その理想に向けて一つ一つバリアフリーの対象者を広げていくということです。
滑らかなコンクリートと粗いインターロッキングの違いを全盲者が認識するという設計意図でしたが、違いが認識できないということが去年の歩行調査で分かりました。
今年度は昨年度の結果をもとに試験舗装をつくり、全盲者、弱視者、車いす利用者による歩行試験を行います。
【コンクリート】
設計では木ゴテ仕上げとしていたが、粗い箒引き仕上げになっていた。
県の担当者が変わり歩行者が転倒しないように安全に配慮した結果、屋外空間のコンクリート舗装にて一般的に使用されている粗い箒引き仕上げになったと考えらる。
設計通り、滑らかな木ゴテ仕上げにする。雨天時にも転倒する危険がないか検証する。
【インターロッキング】
車いす利用者に配慮した溝切りインターロッキングをこれまで使用していたインターロッキングよりも粗いものとして使用することにした。
インターロッキングの製造メーカー各社で溝切りインターロッキングが発売されているので、サンプルを取り寄せて、視覚障害者や車いす利用者によるテストを行う。
【ピンコロ石】
設置方法、施工手順についても詳細に検討する。
以下、これまでの取り組みのフローチャートです。
今後、これまでの進捗状況について随時更新していきます。
試験日は11月7日の予定で準備を進めています。
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