ご存知の方も多いと思いますが、唐津は著名な建築家たちの出身地として有名です。
その建築家の中に辰野金吾と曽禰達蔵がいます。
2人とも数多くの建築を世に生み出してきましたが、
唐津にも2人が設計に携わった建築が残っています。
その一つが曽禰達蔵が設計した、上写真の「旧三菱合資会社唐津支店(歴史民俗資料館)」です。
日本でも数少ない洋風明治建築の一つで県・市指定重要文化財となっています。
歴史民俗資料館の敷地内には、同年代につくられたと考えられる小さな離れがあります。
建築様式は「擬洋風建築」と言われるものです。
擬洋風建築とは、明治初期に日本人の職人達が日本に入り始めきていた西洋建築の限られた情報を参考に、見よう見真似でつくった建築のことです。
大きな特徴は、瓦屋根と、杉板を鎧張りた下見板壁という外観です。
田舎の小学校などの木造校舎で見られる建築様式です。
みなと松原に程近く、またトロッコ倉庫の建築規模から考えて、
これをトロッコ倉庫の建築様式として取り入れることにしました。
設計したトロッコ倉庫の1/10模型です。
大きさは敷地面積約10㎡、高さ約3mとなっています。
内部の構造です。
屋根の構造は方杖を使ったトラス構造としました。
真上に伸びる方杖により、低い天井をなるべく高く見せる演出をしています。
部材の結合は基本的にボルトを使います。
出来上がりは小さい小屋ですが、
その実物が擬洋風建築としてどのように見られるか非常に楽しみです。
(※辰野金吾が唐津で設計監修として携わったのが「旧唐津銀行本店」です。
その「旧唐津銀行本店」が先日リニューアルオープンしました。詳細はこちら。http://karatsu-bank.jp/)
出会いと発見DIARY
2日がかりの溝掘り作業が終わり、今日は丁張りと捨てコン打設の作業を行ないます。
捨てコンとは、基礎御影石を据える前に溝穴の表面をある程度水平にするためのものです。
まずは丁張り板を張るために邪魔になる残土とクラッシャーランと移動します。
次に丁張り板を張るための杭を建設予定地周囲に打ち込んでいきます。
そして水準測量用のスコープを任意の位置に水平をとって設置し、
杭横に置いたスタッフのレベルを読んでいきます。
打ち込んだ杭全てに対して同じことを繰り返していきます。
スコープで読んだレベルの位置に丁張り板を張ります。
これで建設中に基準となる水平レベルが作れました。
捨てコン打設時に捨てコン表面のレベルが読みやすいように水糸を張ります。
これで丁張りの作業は完了です。
丁張りの作業と同時並行で、打設前の溝穴の整え作業を行ないます。
まずは溝穴表面がある程度平らになるように手で余計な石を取り除いたり、
砂を盛るなどして、表面を整えていきます。
次に自家製の転圧機を使って、溝穴の表面を締め固めていきます。
背筋が悲鳴をあげそうなほど、しんどい作業です。
それが終われば、後はミキサー車の登場を待つのみです。
暫しの休息。。。
ミキサー車がやってきました。いよいよ捨てコン打設です。
ミキサー車から生コンを一度一輪車にのせ、溝穴まで運び、流し込んでいきます。
スコップを使って、溝穴に満遍なく広げていきます。
同じ作業を逆の溝穴にも。こちらはミキサー車から直接打ち込むことができました。
生コンを持ってきて頂いた業者の方にもお手伝いいただきました。
満遍なく全体に生コンを打ち付けることが終わったら、
先ほど取り付けた水糸の水準レベルをもとに捨てコンの高さを揃えていきます。
最後に本基礎の生コンを打設する際に、捨てコンとの定着がよくなるように表面に刻みを入れて荒らしました。
捨てコン打設まで、今日は丸一日の作業となりました。
翌日からの悪天候に備え養生期間中はブルーシートを被せます。
重石に使ったのはトロッコ軌道敷にも使っている、熊本市の路面電車で使われていた御影石。軌道敷延伸用にとってあるものを使わせて頂きました。
捨てコン養生後はいよいよ御影石の据付です。
今日は生憎の雨模様でしたが、基礎コン打設のための溝掘りを行ないました。
重機を持たないので人力の作業です。
芝、土、クラッシャーランの層をひたすら掘り、幅約500mm、長さ約5000mm、深さ約400mmの溝を作ります。
芝、土まではスコップで対応可能でしたが、
大きくてゴツゴツしたクラッシャーランは、スコップで上手くすくうことができないので、
直接手で掘り下げていきます。
この層が一番厚くて大体250mmくらいありました。
男手4人で約2.5時間。溝がやっと一つ出来上がりました。
軌道敷をはさんでもう一つ掘りますが、豪風雨のため残り1つは明日に回し急いでその場を撤収。
雨雲から梅雨の到来を不安に感じつつ、現場を去りました。
ちょうど1年前、唐津みなとまちづくりの一つのプロジェクトとして、
樋口研が設計に携わらせて頂いた唐津東港の公園、
「みなと松原」がオープンしました。
その開園式では、園内に整備された軌道敷を走るトロッコ列車による渡初めを行ないました。
しかしその後、トロッコ列車は公園からやや離れた建物に保管され、
利用して園内で遊ぶには難しい状況にありました。
そこで、園内を利用する子供達が気軽にトロッコ列車で遊べるように、
園内にトロッコ倉庫を設置することになりました。
このトロッコプロジェクトでは、
設計だけでなく、施工も樋口研が主となり行ないます。
この日は基礎工を行なう前に、現場での敷地の寸法出しを行ないました。
設置場所は、軌道敷の末端です。
図面から敷地を割り出し、現場に落としていきます。
寸法出し後の現場を高めから。
施工期間は約3週間の予定です。
完成後の様子がとても楽しみです。
倉庫には、トロッコを格納するのに加えて、
園内の大きくなった松原を維持管理していくための道具も保管する予定です。
過去4年毎年行なってきた市民の植樹活動による松原は、
広範囲になりきちんと育樹していかなくてはならない時期になっています。
まだまだ先は長いですが、
トロッコ倉庫がみなと松原の賑わいの一助になれるよう、しっかりと作りたいと思います。
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