風景と地域づくりの
出会いと発見DIARY
景観研究室は、プロジェクトや研究を通じて、九州各地の風景・地域づくりに取り組んでいます。地域の人達と未来を語り合う、デザインについて現場で喧々諤々議論する、素敵な風景や食文化を見つける、地域の人達との長いお付き合いが始まる…風景・地域づくりの中で、たくさんの出会いや発見、感動が生まれる毎日。そんな景観研究室の日常をお伝えしていきます。
June 11, 2014

佐世保三町内における今年度の取り組みに向けて 【佐世保/裴】

今年の3月に俵ヶ浦地区のみなさんとアメリカ海軍の協力で
「俵ヶ浦トレイル」にサインを設置した盛大なワークショップがまだ記憶に新しいですね。
今年度は未設置サインの据え付けはもちろん、
俵ヶ浦半島を始めとする周辺の町内でも地域づくりの輪を広げていきたいと思います。
土木コレクション(ドボコレ)の展示でてんやわんやだった研究室も一旦は落ち着き、
昨日6月10日、佐世保で今年度の取り組みについての打ち合わせを行いました。
佐世保観光コンベンション協会との打ち合わせも含め、なんと4つものミーティングを行った
とても濃い一日となりました。

午前中は佐世保観光コンベンション協会との打ち合わせで、
お昼から会合を行う3つの町内についての情報共有と
今年度の取り組みについて軽くディスカッションを行いました。
昨年度から引き続き取り組む俵ヶ浦町では、
地元の方やウォーキング客のフィードバックから、
トレイルルートにある廃車の撤去が課題の一つとして上がり、
2トンユニックを借りボランティアを募って処理する方向性が決まりました。
また、地元にある乗馬クラブと連動して、
馬でトレイルを周回する等といった面白いアイデアもでてきました。
今年度から新しく取りかかる庵の浦(いおのうら)地区、野崎(のざき)地区は
集落の規模としては大きくないものの、
俵ヶ浦町とはまたひと味違った地域の魅力があるとのことで、
お昼からの二町の公民館館長さんとの会合が楽しみになってきました。

最初の打ち合わせを終え、お昼は市役所にて、
庵の浦公民館館長を務めていらっしゃる大谷館長とランチミーティングを行いました。
市役所にも勤務しておられる大谷館長は問題意識がとても高く、
庵の浦が抱える深刻な課題について熱く語られました。
世帯数の減少、空き家の増加、小学校の合併、産業の衰退…
どれも現在日本各地の地方で起こっている現象ですが、
実際にそれが自らが暮らす集落で起こるというのはやはり恐ろしい事で、
大谷館長も「もう『限界集落』を超えている」と眉をひそめていました。
しかし、昨年度俵ヶ浦で地元の方達がいきいきとトレイルの道標を製作し、
据え付けていた現場にも来ていた大谷館長。
きっと庵の浦でもそういった地域づくりをしていきたいという思いがあるでしょう。
庵の浦には真珠養殖を行っている素敵な港があったり、
おいしいみかんを栽培していたり、
地域の誇りとなるものがたくさん眠っているので、
それらを地元の方達自らが掘り起こし、
庵の浦での地域づくりの構想を自分たちで描いて行政に提案してみるのはどうか、
という樋口先生からのお話があり、
大谷館長も納得していたようです。
具体的な案としては港を生かして、
浦々を巡るツアーの一環で海から立ち寄れるところとして庵の浦を位置づけ、
ポンツーンを地元で作ってみる、
というのが挙りました。
庵の浦は世帯数が少なく、
小学校も児童7名とかなり少ないですが、
俵ヶ浦のみなさんも経験のあるヘルパーとして来て頂いて、
また昨年度行ったような楽しいワークショップを開催できそうです。

午後最初に会合を行ったのは去年からお世話になっている俵ヶ浦町のみなさん。
相変わらず元気一杯で、暖かく出迎えてくださりました。

3月の菜の花ウォークで、俵ヶ浦トレイルを歩いて頂いたモニターのみなさんから、
「どこか座って休憩できるところも欲しい」というフィードバックがあったので、
唐津のプロジェクトで作っているベンチを今回は持って行き、
地域のみなさんにお見せしました。
今年度はサイン製作からまた一つグレードアップしたベンチ製作ワークショップが開かれるかもしれませんね。
庵の浦でも似たような取り組みを行うかもしれないとお伝えすると、
手伝いに行く気満々の俵ヶ浦町のみなさん。
白浜海水浴場の草抜きや海開きのイベントなど、
お話がどんどん弾み、本当に団結していて元気なコミュニティだなぁ
と改めて感心してしまいました。
秋にはキャンプ場で地域の皆さんとバーベキューパーティーを行う約束もして、
その時期から俵ヶ浦の今年度の取り組みをしていきましょう、ということで話しがまとまりました。

最後にお会いしたのは野崎公民館館長の中里さん。
海上自衛隊OBの方で、
こちらも地域に対してとっても熱い思いを持っておられる方です。
今回の会合の為に、野崎町についての考察及び今後野崎町でどういう地域づくりを行っていきたいのか、
という思いを綴った丁寧な資料まで用意しており、
とてもスムーズに打ち合わせを行うことが出来ました。
中里さんは自衛隊引退後野崎にUターンしておられ、
「故郷の復活」を志して、実際3人野崎町民を増やすことに成功しておられます。
地域に対して独自の鋭い見解もお話の中で垣間みることができ、
野崎での地域づくりには欠かせないキーパーソンである印象を強く受けました。
今後の展開がとても楽しみです。
ちなみに、写真で地図にメモしているのは4年生の松浦くんで、
今回が初めての佐世保とのこと。
いきなり4つの打ち合わせに参加して戸惑いも多いと思いますが、
当日メモ担当でノートには発言者の一字一句を逃さず記録しようとした真面目さには感心してしまいました(笑)。
さて、俵ヶ浦町から庵の浦町、野崎町と取り組みが広がっていく展開を見せる佐世保でのプロジェクトですが、
なんといっても俵ヶ浦に訪れる人が増えたり、
マスコミに取材を受ける機会が増えたりと、
昨年度の取り組みが実際に予期する効果を少しずつ発揮し始めているという事実があることを知って、
いままでの努力が無駄ではなかったことにすごく安心感と達成感を感じました。
この流れに乗って、歩みは遅くとも、今年度も確実に成果を積み上げていきたいと思います。

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