風景と地域づくりの
出会いと発見DIARY
景観研究室は、プロジェクトや研究を通じて、九州各地の風景・地域づくりに取り組んでいます。地域の人達と未来を語り合う、デザインについて現場で喧々諤々議論する、素敵な風景や食文化を見つける、地域の人達との長いお付き合いが始まる…風景・地域づくりの中で、たくさんの出会いや発見、感動が生まれる毎日。そんな景観研究室の日常をお伝えしていきます。
April 27, 2013

唐津・錨のモニュメント【唐津/樋口】

唐津東港でのみなとまちづくりの拠点となっている二タ子三丁目倉庫。同倉庫の利活用を考える「みなとまちづくり懇話会二タ子三丁目倉庫利活用WG」では、この貴重な空間をどのように整備し活用していくべきかをいつも考えています。そこでの議論の中から、海辺らしさをもっと演出するために錨のモニュメントを作ろう!というアイデアが生まれました。使用する錨は、数年前に引退(海上保安庁では解役といいいます)した巡視船「まつうら」が装備していたもので、当時の川上保安部長のご尽力で、みなとまちづくり懇話会での有効活用を条件に保安庁から頂戴しました。錨の支柱にする石柱は、トロッコ倉庫で基礎に利用したものと同じ旧松浦橋橋脚の御影石を使います。再塗装や据付けの費用は市役所が準備してくれることになりました。

製作要領図は九大で作成しました。

再塗装前の錨。全部で三基あり、今回はそのうちの一基を使用します。全体に錆が出ていますが、少し磨くとピカピカの鉄の地肌が出てきます。

先先代の松浦橋。橋脚の柱の部分が御影石の石柱です。一本の長さが2400mmもあります。かつては波に洗われる場所で使われていたため、今も牡蠣殻がついています。

まずは設置場所にコンクリートの基礎をつくり、石柱を据え付けます。コンクリートだけだと寂しいので、WGのメンバーで唐津の海岸で拾った貝殻や石を表面に埋め込みました。

まだ途中ですが、はいチーズ。当日ラリーイベントの準備に来られていた青木市議さんにも入っていただきました。青木さんからは、このスペースが様々な活動に利用できるよう機能的なデザインにしてくださいとのアドバイスをいただきました。後ろに見えるのは左が大島、右が高島です。

いよいよ錨の設置です。ユニックで吊りながら位置を調整します。

長年実際に使用されていた錨には、強い存在感があります。

最後に石柱の背面に地元産杉材のフラッグポールを取り付け、今回のために景観研OBの佐藤君がデザインした二タ子三丁目倉庫のフラッグを掲揚して完成です。作業に当たってくださった皆さん、お疲れさまでした!
バブルの頃とは違い、国も県も市もお金がないため、唐津の港まちづくりは少しずつしか進みません。それでも懇話会をはじめ地元の方々のアイデアと努力で着実に前に進んでいきます。この錨のモニュメントもそんな一歩の一つです。大きな予算で一度にぱっと作ってしまうよりも、小さくても一つ一つの取り組みを皆の力を合わせて積み上げていくやり方の方が、結果としてよい結果、多くの人に大事にされるよい空間の創出につながるように思います。
巡視船「まつうら」から譲り受けた部品には二基のマストもあります。今年はこのマストを利用したモニュメントにも目処を付けようという話が進んでいます。どんなものができあがるか、乞うご期待です。

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