風景と地域づくりの
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景観研究室は、プロジェクトや研究を通じて、九州各地の風景・地域づくりに取り組んでいます。地域の人達と未来を語り合う、デザインについて現場で喧々諤々議論する、素敵な風景や食文化を見つける、地域の人達との長いお付き合いが始まる…風景・地域づくりの中で、たくさんの出会いや発見、感動が生まれる毎日。そんな景観研究室の日常をお伝えしていきます。
March 31, 2013

救命浮環③救命浮環表面印字方法【唐津/平野】

【救命浮環表面印字方法の検討】
救命浮環表面のデザインが決まったら、印字を製作所に発注をかけることになります。
救命浮環の印字方法には「塗装による印字」と「カッティングシートによる印字」の2つの方法があることがわかりました。長崎水辺の森公園に設置されている救命浮環にはこの2つの方法で印字された救命浮環が設置されていることが確認できました。長崎水辺の森公園の救命浮環に関して、設置した業者である総合電機株式会社に問い合わせ、長崎水辺の森公園の現地に行き撮影した写真と費用に関して整理して比較しました。

上の写真、長崎水辺の森公園で撮影したもので、文字の印字の方法が、左が塗装、右がカッティングシートです。
カッティングシートの方は経時変化でカッティングシートが剥がれることが確認できました。一方、カッティングシートと比べると塗装による経時変化が少ないです。
費用を比較すると大きな差がないことから、今回は塗装による印字を採用しました。
救命浮環の製作を依頼した日本救命器具株式会社では塗装による印字の注文は可能でした。しかし、ステンシルつなぎ文字の印字になるため文字をきれいに印字することができず、長期間の文字の判別性が期待できません。
そこで印字は専門の業者に別で依頼することにしました。
■手書き、スクリーン印刷の比較
株式会社音鳴印刷に印字に関して問い合わせたところ、塗装による印字方法は手書きとスクリーン印刷の2つの方法が考えられることが確認できました。手書きは職人によって一つ一つ手書きで文字を入れていく作業となります。スクリーン印刷は文字の型を作り、その型を浮環の表面に当てて印刷を行います。
手書き、スクリーン印刷の費用を比較すると、スクリーン印刷の方が安く済むことが確認されました。また、スクリーン印刷は一度型を製作すれば量産が容易になるため、今回の救命浮環表面の文字の印字はスクリーン印刷を採用しました。
試作品のスクリーン印刷は佐賀にある「クロカミスクリーン印刷株式会社」に依頼しました。
■スクリーン印刷の塗料
塗料は同じ種類の方が密着しやすいことがわかりました。よって、スクリーン印刷で使用する塗料は救命浮環で使用したのと同じ「ウレタン系」の塗料にしました。スクリーン印刷で使用する塗料はクロカミスクリーン印刷株式会社に提案して頂いた「SG740シリーズ」を採用しました。
この塗料はスクリーン印刷で使用するウレタン系塗料の中で最も耐候性が優れる塗料であり、2液イソシアネート硬化型という時間が経つにつれて密着性が増すタイプの塗料です。
また、文字の密着性を増すためにべんがら色で文字を1回塗りした後、クリアカラーの塗料をスプレーで噴射してオーバーコートしました。文字の印刷を重ねて印刷しないのは、印刷を重ねることで色落ちの対策になるが、厚み増して剥がれ易くなります。また、印刷の回数が増すと文字が重なるため文字が綺麗に仕上がりません。文字の耐久性の強化はクリアカラーの塗料によるオーバーコートで対応することにしました。
そして、印刷に使用する版を製作して、印字を行いました。これで救命浮環本体の製作は完了です。

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