風景と地域づくりの
出会いと発見DIARY
景観研究室は、プロジェクトや研究を通じて、九州各地の風景・地域づくりに取り組んでいます。地域の人達と未来を語り合う、デザインについて現場で喧々諤々議論する、素敵な風景や食文化を見つける、地域の人達との長いお付き合いが始まる…風景・地域づくりの中で、たくさんの出会いや発見、感動が生まれる毎日。そんな景観研究室の日常をお伝えしていきます。
May 30, 2011

トロッコ倉庫に関するお話 その2「瓦」 【トロッコ倉庫/深川】


擬洋風建築の外観で重要なものの一つが瓦です。
しかしトロッコ倉庫の建設にあたっては予算の問題で瓦の購入が難しい状況にありました。
そのため、どこからか瓦を譲り受ける事はできないかと考え、
唐津市や地元の業者さんにご協力頂き、使い道のなくなっている瓦の捜索にあたりました。
約1ヶ月間捜索の結果見つかったのが、「旧大島邸」の瓦です。
旧大島邸は、旧唐津銀行の頭取を勤めた大島小太郎氏の邸宅で、
唐津市内に残っている唯一の武家屋敷です。
当初、近接する小学校の立替に伴い、この大島邸を取り壊し、
そこに新たな校舎を建てるという計画が立てられていましたが、
市民団体の「大島邸を保存する会」の精力的な取組みにより文化財としての価値が認められ、
移築・保存という計画に見直されました。
移築・保存に向け解体工事が進んでいる最中、再築時には使用しない瓦があることが分かり、
それを提供頂くことになりました。
再築時に使用しない瓦とは、過去に大島邸の改修が行なわれた際に使用された平成瓦であり、
文化財として移築する際にはこの瓦ではなく、建築当初の瓦を復刻し使用するため、
今回提供頂くことができました。


状態は極めて良く、まだまだ現役として使える瓦です。
瓦が使われていたところが寄棟屋根だったため(トロッコ倉庫は切妻屋根)、
瓦の種類が足りず一部は購入となりますが、
大部分はこの瓦を使うことになります。
そのまま行けば、おそらく廃材として処分されていたと思われる瓦ですが、
新たな建物の屋根で今度はその役目を果たしてもらいます。

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