風景と地域づくりの
出会いと発見DIARY
景観研究室は、プロジェクトや研究を通じて、九州各地の風景・地域づくりに取り組んでいます。地域の人達と未来を語り合う、デザインについて現場で喧々諤々議論する、素敵な風景や食文化を見つける、地域の人達との長いお付き合いが始まる…風景・地域づくりの中で、たくさんの出会いや発見、感動が生まれる毎日。そんな景観研究室の日常をお伝えしていきます。
May 8, 2011

「五輪の道」完成!【五島/高尾】

「五輪の道」について
五島市久賀島で唯一車でアクセスできない五輪集落については、以前より久賀島島民から道路建設を求める声がありました。五輪集落にアクセスするには、船で直接行くか、人だけが通れる未舗装の山道を通る必要がありました。この山道は、木の根や石が多く、特に雨の日には危険性が高く、五輪集落の方々が、生活上ずいぶんと不便をされていました。
そこで、平成21年度に五島市と九州大学などが事務局となって設置した「久賀島まちづくり協議会」において、この道の整備のあり方の検討を行ないました。生活上必要な道の機能を十分に満たすのはもちろんのこと、周囲が国立公園であり、また国の重要文化的景観選定、さらには世界遺産登録をめざしている地区(旧五輪教会が世界遺産の構成資産の候補)において可能な整備について議論を行い、大学側からも模型等で提案を行い、歩道として整備することとなりました。なお、「五輪の道」というのはこの道の通称です。
そしていよいよ平成22年度から実施設計と工事を開始しました。周辺の景観や環境、地区の歴史に調和し、整備したかどうかさえわからないような道、しかし高齢者でも歩きやすい道を目指し、特に寸法や素材について市担当者自身が、大学からのアドバイスのなかで膨大な量の検討を行いました。
土系舗装に使う土については、当初標準的なものを使う予定でしたが、現地で検討してみたところ色が明るかったため、見直しを行いました。試行錯誤しているなかで、近くでおきた土砂崩れの土を使って試験施工してみたところ、周囲とうまくとけこんだためこれを採用しました。2箇所ある階段部に使用した石についても同様の検討を行いました。
施工現場でも何度か打合せを行いましたが、担当者と施工業者の丁寧な施工により、ついに素晴らしい道が完成しました。全区間完成後はじめて歩きましたが、関係者のみなさんの仕事ぶりに敬意の念でいっぱいとなりました。

前日の風雨で葉が落ち、さっそく風景として馴染んでいました。舗装の色も違和感がありません。

特に勾配がきつい区間は階段を整備しました。
当初丸太の予定でしたが、久賀島の石の文化にあわせたデザインとしました。
階段のステップの寸法は、高齢者でも歩きやすいようにずいぶん検討しました。
また、住民が農作業等のために一輪車で荷を運ぶため、階段は幅員の半分程度にしています。

久賀島まちづくり協議会で提案した模型をつくった二人も嬉しそうです。
あんまり歩きやすいので、思わず肩を組んでいました、笑。
整備前ならこんなことはまずできませんでした。
ちなみに、左の竹森君は、この4月に福大から五島市役所に就職しました。
右の梅田君は福大の修士二年。いまや五島チームのエースです。
今後の二人の活躍に期待です。

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