風景と地域づくりの
出会いと発見DIARY
景観研究室は、プロジェクトや研究を通じて、九州各地の風景・地域づくりに取り組んでいます。地域の人達と未来を語り合う、デザインについて現場で喧々諤々議論する、素敵な風景や食文化を見つける、地域の人達との長いお付き合いが始まる…風景・地域づくりの中で、たくさんの出会いや発見、感動が生まれる毎日。そんな景観研究室の日常をお伝えしていきます。
August 20, 2010

自治体学会in武雄Part3【行事/渡邉】

つづいて、シンポジウム「現場から問う地域主権戦略」。元ニセコ町長で現在首相補佐官を務める逢坂さんがパネラーとして出席。私は存じ上げませんでしたが、逢坂さんは、町長時代にニセコ町が全国初の自治基本条例を策定したことで、自治の分野では非常に有名な方のようです。逢坂さんから地域自治に関する現状説明(出先機関の廃止や交付金、地方自治法改正の話など)ののち、様々な議論がありました。ナショナルミニマムをどう捉えるか?を今きちんと考え乗り越えていくことが成熟した民主主義の核心である。さらに、これからは市民の自治を高めシビルミニマムへ向かっていく。住民の力が問われる時代だ。財源に対する計画性など自治体の判断力、力量が問われる時代でもある。などなど。
最後に地域総合計画のあり方に触れ、逢坂さんから「地域総合計画の構想の部分はうるおい・いきいきみたいな漠然としたどの地域でも書けるようなことを書くのではなく、その自治体の哲学が書かれるべきであり、その構想について議会で話し合い議決することに意味がある」という発言がありました。とても感動的な発言だったと思います。
そして、最後の分科会「地域の売り出し方」は、佐賀のがばいばあちゃんのロケ地「淀姫神社」にて行われました。パネラーは武雄市樋渡市長、長崎市田上市長、由布院玉の湯の桑野さん。

なんとも豪華ですよ。大興奮です。
風が涼しく吹き始めた夕暮れ時、縁日のような雰囲気の中での分科会でした。
大切なお話としては「観光は波があって、変化するものだけれど、自分のまちであるということだけは変わらない。何をするにも、責任を持って立ち止まって考える」という桑野さんの発言。関連して、「大きな流れの中で見て判断をする。街は長く存在するので、方向性が大事。そのときの基準は短期間で見たら苦しくても長い目で見たらどちらが長く続くのか、ということだ。」という田上市長の発言。などなど。本当にそうだな、と共感。
最後に「観光で売り出すことで地域の本来の価値が損なわれることもあると思うんですが、どう考えていますか。」という質問をしてみたのですが、桑野さんから本当に素敵な回答をいただきました。
「人々に支持されるものが持続するものです。日本の風景の美しさは世界に支持されるものです。日本の風景の美しさに関わっていくことは行政にしかできないことですから、景観も含め、すべてを考えていくことが大切だと思います」と。
なんだか胸がいっぱいになる、ずっと大切にしていきたいお答えでした。
大切にします。ありがとうございます。
地域自治の世界にやっと一歩足を踏み込んだ、そんな二日間でした。風景や地域づくりを中心にして私たちのまわりに広がる新しい世界に視野を広げていくことは大切です。
地域自治と風景がどんな風につながっていくのかということについては、12月に熊本大学の伊藤洋典先生を講師に「地域自治と風景(仮)」をテーマにした風景デザインサロンが開催される予定ですので、そのときまたゆっくり考えてみたいと思います。

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