WORKS

グリーンインフラ で自然の力を受け流す

グリーンインフラを

提案し実装していく取り組み

近年日本各地で起きている集中豪雨による災害や来襲する台風の大型化が地球温暖化のせいなのか…はっきりしたことはよくわかりませんが、自然災害の全てをコンクリートや鋼鉄で作った「ハードインフラ」で防ぎきることは不可能です。
 最近広まっている新しいインフラ整備の概念に「グリーンインフラ」というものがあります。コンクリートに象徴されるこれまでのインフラ(「グレーインフラ」という呼び方があります)の一部を、防風林、防潮林のような自然物で置き換えること、堤防をかさ上げするかわりに遊水地や雨水貯留施設などで洪水を抑制すること、限界に達すると壊れてしまうコンクリート構造物を木造構造物や石像構造物などのより柔軟なものに置き換え自然の力を受け流すこと等々、様々なアプローチが考えられつつあります。
 九大景観研では、地域の皆さんや専門家の方々と一緒に、二酸化炭素排出抑制にもつながる木材や石材の活用を常に考えてきました。今後も新しいアイデアの提案や実装(実際に作ってみること)をどんどん進めていきます。皆さんのまちや地域で「グリーンインフラ」的な取り組みをお考えでしたら、ぜひ一緒にやってみましょう!


唐津東港で続いている植樹活動で誕生した松原。
東港のシンボルとしての役割だけでなく、冬季の強い北風から広場を守る仕事も担っています。立派なグリーンインフラです。
まだ若いですが、20年後には立派な松原となってくれるよう、定期的にボランティアの手で枝打ちや間引き、下草刈などの管理が行われています。

唐津東港のプロムナードに設置された木製ボラード。自然素材の木材は、同じ自然素材のレンガ舗装や石畳とよく合います。


木製の車止め。唐津東港の耐震補強岸壁に設置されています。荷役作業で邪魔になる時にはフォークリフトで持ち上げて移動することができるようになっています。

俵ヶ浦半島トレイルルート沿いに設置した地域住民手作りのサイン。表面にステインを塗っただけですが、設計次第で5年以上使用できます。すべてをピカピカで高価な品物にするのではなく、「傷んだら自分たちで新しいのと取り替えよう」というのも、一つの考え方です。


唐津城から伸びる人工砂浜「西の浜」に流れる小川を渡るため架設された木製人道橋。すべて地元産の杉材を使用。延長40mの橋は総費用350万円。何でもかんでもコンクリートという先入観を捨てれば、いろんな可能性が広がってきます。

地元産杉材を用いたベンチ。唐津みなとまちづくり懇話会関係者の寄付により毎年数基ずつ設置してきました。背板には寄付した個人や会社の名前、そして製作に参加した九大生の名前が彫られています。


遠賀川の河川敷に設置した木製の注意書きサイン。一見木材が劣化しているように見えますが、周囲の風景と馴染みの良い色に変色しているだけです。設置者は国土交通省。

大分市の線路敷ボードウオーク広場で採用した地元スギ材のバリアフリーデッキ歩道。根太にはペットボトルのキャップ(ポロプロピレン)の再生材を使用しています。


同じく線路敷ボードウオーク広場にある木製ベンチ。唐津東港にあるベンチと同じデザインですが、脚部には鋼鉄を用いています。

同じく線路敷ボードウオーク広場に設置した木製の照明柱。以前、電柱はすべて木製でした。ちなみに木は不導体です。灯具は昔の国鉄時代のものです(今も少量ですが製造されています)。


同じく線路敷ボードウオーク広場にあるバスケコートの木壁。弾力があるので、ぶつかっても怪我をしにくいメリットがあります。
以上の事例は全て九大景観研による設計です。
また、照明柱と俵ケ浦のトレイルサイン以外はすべて20年以上の耐久性を備えたエコアコール処理を施しています。
環境に優しい防腐処理技術の進歩で、以前に比べて格段に処理木材の耐久性が向上し、使いやすくなっています。