風景と地域づくりの
出会いと発見DIARY
景観研究室は、プロジェクトや研究を通じて、九州各地の風景・地域づくりに取り組んでいます。地域の人達と未来を語り合う、デザインについて現場で喧々諤々議論する、素敵な風景や食文化を見つける、地域の人達との長いお付き合いが始まる…風景・地域づくりの中で、たくさんの出会いや発見、感動が生まれる毎日。そんな景観研究室の日常を、その時々の現役学生の目を通して、お伝えしていきます。
December 5, 2018

今年の主な出来事(その1):嘉瀬川ダム優秀賞受賞

一年近くブログを書いていなかったので、新スタッフの紹介に続いて景観研のこの一年での主な出来事を振り返ってみたいと思います。

まずは嘉瀬川ダムの土木学会デザイン賞優秀賞の受賞です(正確には2017年度)。平成15年から20年にかけて、国交省九州地方整備局が設置したダム景観検討委員会の委員としてダム本体の景観デザインを詰めていく議論と作業に参加しました。民主党政権下の「事業仕分け」の最中に委員会が閉会となった後は、未着手であった詳細デザインを九大景観研でスタディし、工事事務所に提案させていただきました。

工事事務所の皆さんは、タイトな予算と工期、そして困難な原石確保等で大変な苦労をされました。僕も設計コンサルタントの皆さんと一緒に、少しでもダムの景観的質を高めようと必死で頑張った数年間でした。パニック障害で倒れたのもこの時期です。

何もかもギリギリでしたので、実現できなかったことが多数あり悔いも残る仕事でしたが、優秀賞として選定していただいたときは本当に嬉しかったなあ。当時テクニカルスタッフとして頑張ってくれた伊東くん(現東京建設コンサルタント)、修士課程だった筒井くん(現鹿島建設)、よかったね!

最優秀賞にならなかったのは、ダム本体以外をデザイン対象とすることができなかったから、と僕は考えています。同じ年度に最優秀賞を受賞した内海ダム、2018年度に最優秀賞を受賞した津軽ダムは、どちらもダム湖や道路などダム本体以外の景観要素までデザインの対象としており、トータリティが受賞のキーポイントになっています。

ダムが完成したのち、そこを訪れる人々の多くはダム本体ではなくダム湖に目を向けます。ダムの景観設計において、人工的に創出されるダム湖とその周辺部分の景観的質の高さはダム本体のそれ以上に重要であり、ダム事業に対する社会的評価への影響も大きいのです。今後建設される全てのダムでトータルデザインの思想が導入されることを強く望んでいます。

 

試験湛水時の嘉瀬川ダム全景
右岸にあるダム管理棟周辺やダム直下の左岸側斜面の緑化は予算不足でできませんでした。ダム湖外周部に多数ある切土法面は、美しい自然に刻まれた「傷」のように見えます。

 

試験湛水時越流中の嘉瀬川ダム。

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