風景と地域づくりの
出会いと発見DIARY
景観研究室は、プロジェクトや研究を通じて、九州各地の風景・地域づくりに取り組んでいます。地域の人達と未来を語り合う、デザインについて現場で喧々諤々議論する、素敵な風景や食文化を見つける、地域の人達との長いお付き合いが始まる…風景・地域づくりの中で、たくさんの出会いや発見、感動が生まれる毎日。そんな景観研究室の日常をお伝えしていきます。
March 18, 2014

俵ヶ浦トレイル・サイン製作及び設置ワークショップ(後編)【佐世保/裴】

【3月15日サイン製作及び設置ワークショップ】
@俵ヶ浦町公民館、俵ヶ浦トレイル
今回は2月15日に行われた俵ヶ浦トレイルのサイン製作ワークショップの続きとして、
残りの道標製作と2月のワークショップで製作した道標を設置するという内容のワークショップを行いました。
このワークショップの目玉はなんといっても参加者の面々とその規模!
米海軍の方19名、自衛隊OBの方5名、江迎地区(佐世保市北部)のボランティア2名、
そして俵ヶ浦町のみなさんがおよそ20名…
景観研のメンバーも入れてなんと総勢50名以上のボランティアによって俵ヶ浦トレイルの道標が作られ、据え付けられていくのです。
19名にも及ぶ米海軍の助っ人達と俵ヶ浦の地域住民が共同作業でどのような交流を生むのか、
ワークショップでのコーディネートに不安を感じながらも、わくわく感がとまりませんでした。
まずは、これだけの人数にどのようにして作業を振り分けていくのか。
サインの製作には経験がある景観研メンバーでも、
穴を掘ってサインを据え付ける作業については全くやったことがなかったので、
学校の空き地で据え付けの実験をやってみることにしました。

地上から約1.8メートルの高さがある杭を確実に固定する為に、
深さが杭の高さの半分以上となる約1メートルの縦穴を掘る必要があります。
私たちの不安の根源は、「実際1メートルの穴ってどうやって掘るの?」という疑問にあり、
色々と掘る器具をあちこちから借りて実験をしてみた結果…

なんとか竪穴式スコップで掘る事ができました。
学生の力で、30分程で掘れたので、
米軍の屈強な男たちなら大丈夫だろうということで、不安は一つ解消できました。


木杭の防腐処理・穴あけの作業風景。
前回のワークショップで頂いた地場産の間伐材を、
唐津でいつもお世話になっている栗原木材さんで杭の形に製材していただきました。
資材の運搬が大変なので、景観研チームが唐津まで出向き、
製材した木杭にボルトを通す穴空けと、防腐のステイン塗り作業を行いました。
製材及び作業場所を提供してくださった栗原木材さん、
ありがとうございました!
さて、肝心の当日作業についてですが、
大きく分けたらサイン製作と設置の二チームに分かれて行います。
製作チームはルーターの作業、ペンキで色付けの作業の二つを担当し、
設置チームは更に5班に分かれて、それぞれ担当のエリア内にあるサイン設置箇所でサイン組み立て、穴掘り、据え付けの作業を担当していただくという計画にしました。
製作チームは主に地域の方(特に女性、子供)にお任せし、
体力を要すサイン設置の仕事は米軍、自衛隊OB、地域のおじさん達にお願いする算段です。
しかし、実際は読みが甘過ぎていて、
・スタッフ数が足りない
・サイン製作チームの作業が多人数に対応できず、手持ち無沙汰になる人が多く出る
・サインの組み立てに時間がかかり過ぎてしまった
等の問題が発生してしまいました。
それに加え、当日は行きに渋滞に巻き込まれてしまうという不測の事態も発生し、
すぐにスケジュールが書き直される、という痛手を負ってしまいました。
それでも50人以上の参加者が集まって来ます。
米海軍が来てサイン設置のワークショップが始まるのは午後からなので、
まず公民館での製作ワークショップを始めました。

今回参加した子供達の数は前回の倍以上。
興味津々にルーターや色付け作業の説明を聞いてくれるので、
もう少し道具を用意してあげれば良かった…と思いました。

作業にはみんなで取りかかっています。
前回ワークショップに参加した子供達は誇らしげに、
新しく参加したお友達に作業要領を教えています。

自分たちで色を付けたサインが出来ました!
本当に嬉しそうにしてるのを見るとほっこりしますね。

一方、公民館の外ではトレイル案内看板と駐車場誘導サインの組み立てが予想以上に時間かかり、
大忙しです。先に穴あけをやっておかず、現地で組み立てようとしたことが裏目に出ました。

せっかくなので、子供達にも出来る作業を手伝ってもらってます。
午後から行われる道標設置のワークショップに向けて、
予定設置箇所に木杭や木板、ドライモルタルを運ぶ作業は、
地域の方が軽トラを4台も出していただいたおかげで、
午前中は順調に進みました。
以下が、今回のサイン設置箇所です:

トラックの容量上、一度に加工場まで持っていって製材出来る木杭に限りがあったので、
今回は製材出来た分だけ、設置を行います。
3月30日に「菜の花ウォーク」というイベントで俵ヶ浦トレイルが取り入れられるので、
それに向けて、最低限必要なサイン設置箇所を決めました。

もう一つの現場。
地元のおばさん達が作業してくれたボランティアのみなさんの昼食を作ってくれました!
たくあんは自衛隊のみなさん、米軍の方にも大好評でした。
本当に俵ヶ浦町内のみなさん一人一人の力で作り上げたワークショップなんだな、
と改めて実感しました。
さて、いよいよ米軍の方達が、俵ヶ浦にやってきますーー

米軍のみなさんが到着。
さっそく地域の方達と仲良くなってもらうべく、交流を促進してみます。
米軍の方達はとってもフレンドリーな人ばかりで、積極的に話す機会を作ろうとしますが、
やはり英語に自信がないのか、俵ヶ浦代表はなかなか自ら進んで話そうとはしません。
ここで文化の違いが顕著に表れていました。

なんとかみんなで輪を作り、
午後からの作業内容を僕が慣れない英語を併用してみなさんに説明していきました。
無事に米軍の方達に伝わったようで、本当によかったです。

チームに分かれた後は作業場所に軽トラでいざ出発!
荷台に米軍と一緒に乗り込んだ俵ヶ浦のみなさんはどんな感覚だったのでしょうか…?
まるで映画のワンシーンです。
作業は予想していた通り、
米軍ボランティアのおかげで穴掘りの作業はだいぶ早く進み、
また地域の作業上手なおじさん達の活躍で、
準備出来た道標は全て立てる事が出来ました!
(残念ながら組み立てで終わってしまったサインや向きに問題があったサインは後日設置することになりました。)

据え付け終わったサインの根元には周りから集めた石を置いてより風景に馴染ませます。

いざ現地に設置してみると、本当にいい感じの道標が出来上がっています。

一番見晴らしの良い所でサインが設置されました!
作業に関わったみなさんは本当に嬉しそう。
これからもいい写真撮影スポットとなりそうです。

米軍広報部の取材もいただきました。
他に取材された米軍ボランティアの方のお話を聞くと、
彼らもこのような取り組みはとても有意義であると感じいるようで、
俵ヶ浦の団結したコミュニティについて絶賛しておられました。
意外にも今回のワークショップが地域コミュニティとの初めての交流活動であったとのこと。
このワークショップをきっかけに、海軍と地域の距離ぐっと縮まったような気がします。

最後は俵ヶ浦トレイルの入り口となる道標に全員が集合し、記念撮影を撮りました。
参加者全員が成果を噛み締めて、心の底から笑顔になった最高の一枚が撮れたような気がします。
今度の3月30日には、各地から菜の花ウォークに参加する人達が俵ヶ浦を歩くことになるでしょう。
その時、俵ヶ浦の方達が自分たちの地域づくりについて誇りを持って語れるような材料がトレイルのいたある所に立ってあります。
米軍達も自分たちが汗を流した思い入れのあるこの場所にまた戻ってくるでしょう。
彼らと俵ヶ浦の住民達の再会は、
きっと、気軽な 「ハロー」 から始まるのであろうと、僕は信じています。
(佐世保観光コンベンション協会様から、たくさんの素敵な写真を頂きました、ありがとうございます!)

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