風景と地域づくりの
出会いと発見DIARY
景観研究室は、プロジェクトや研究を通じて、九州各地の風景・地域づくりに取り組んでいます。地域の人達と未来を語り合う、デザインについて現場で喧々諤々議論する、素敵な風景や食文化を見つける、地域の人達との長いお付き合いが始まる…風景・地域づくりの中で、たくさんの出会いや発見、感動が生まれる毎日。そんな景観研究室の日常をお伝えしていきます。
January 8, 2014
試験舗装の施工(2日目)【三和/行徳】

2日目は行徳造園からおじさんと奥さんが、九大から行徳、江副、河津、ジョンが参加しました。

無事に養生が終わりました。
④コンクリート舗装施工
下に土を敷き、コンクリートを打設します。今回は重量制限でグランド内に生コン車が入れなかったため、コンクリートを一輪車で運んでいきます。1杯50kg程度を何度も往復します。
1時間後、表面が乾いてくると木ゴテで仕上げていきます。
みるみる内に表面が仕上がっていきます。


⑤インターロッキング舗装施工
まず、下の海砂を平坦にした後、プレートで転圧します。
その後ブロックを高さを調整しながら並べていき、目地に砂をつめます。


⑥安全帯、スロープ作成
安全帯とスロープはコンクリートとインターロッキング舗装の作業と平行して行っていました。
資格書害者が試験舗装上から外れてしまった場合でも、安全なように真砂土を試験舗装にすりつけます。車いす利用者が登れるように一部コンパネを敷いています。
大まかな作業は夕方には終わったのですが、今回はバリアフリー歩道の研究ということもあり、インターロッキングを平坦に調整するための作業や目地砂をつめる調整作業で、夜遅くまでかかり試験舗装が完成しました。

▲完成した試験舗装の写真(解体時に撮影した写真)
2日目は予想以上に作業がかかってしまい、大変な作業でした。
江副くん、河津くん、ジョンさんお疲れ様でした!!
最後の調整作業は、予想していなかった作業で施工計画の難しさを感じました。
私事ですが、この2日間おじさんと一緒に作業したことはとても充実した体験でした。
僕の親も造園をしているのですが、中学、高校と部活だけをしていて親の背中を見てませんでした。
しかし、景観研のプロジェクトをする中で、芝生広場やベンチの施工、施工現場の見学等で造園という仕事にも興味が広がりつつあります。
今回は、歩道の施工なので直接的には造園の仕事と関係ないのですが、親の話をしたり、一緒に作業することで感じることがたくさんありました。
おじさんの奥さんにも作業を手伝ってもらいほんとに助かりました。お父さんは左官職人らしく、目地を詰める作業はさすが職人の娘さんと感じました。
普段はこんなにあらたまらずに、おじちゃん、おばちゃんと呼んでいるので文章に違和感がありますが、行徳造園さんありがとうございました!
次はバリアフリー試験当日です。

January 8, 2014
試験舗装の施工(1日目) 【三和/行徳】

施工は10月29日と10月31日の2日間で行いました。
業者は僕のおじさんの行徳造園さんにお願いしました。
少ない施工費で工事をお願いしたのですが、施工手順の相談や資材を購入してもらい大変お世話になりました。
施工は以下の手順で進めていきました。
【1日目】
①整地・遣り方作業
②境界ブロック・乗り入れブロックの据え付け
③ピンコロ石の据え付け
【養生】
【2日目】
④コンクリート舗装施工
⑤インターロッキング舗装施工
⑥安全帯、スロープ作成
【1日目】
行徳造園からはおじさんが来て、奥さんも手伝いに来てくれました。
九大からは先生と行徳が作業に参加しました。
①整地・遣り方作業
舗装を水平につくるため、レベルを使って基準をつくっていきます。
この作業がずれていると平坦な舗装ができないので、重要な作業です。

②境界ブロック・乗り入れブロックの据え付け
ブロックの高さを調整した後に固定するため、バサモルタル(セメント:砂=1:4)を作ります。
バサモルタルを敷いて境界ブロックを据え付けた後に水をかけて固めます。

遣り方同士をつないだ水糸を基準にしてブロックを据え付けていきます。

全ての境界ブロックを据え付けた後にバサモルタルに水をかけて、目地にモルタルをつめます。
③ピンコロ石の据え付け
ピンコロ石は境界ブロックから引いた水糸を基準にして据え付けていきます。
境界ブロックの時と同じようにバサモルタルを敷き、高さを調整した後に水をかけて固定します。

最後にピンコロ石の表面を水で洗います。
1日目の作業は投光器の出番も無く、無事に終わりました。


養生後、コンクリート、インターロッキング舗装と安全帯の施工を行います。

January 8, 2014
設計図の作成【三和/行徳】

ピンコロ石についても決まり、試験舗装の設計図を以下のように作成しました。


今年の取り組みで現況の歩道から変更した点は、以下の3点です。
・コンクリートの表面仕上げは設計通り木ゴテ仕上げにする。
・インターロッキングは粗さの違いを大きくするために溝切りインターロッキングを使用する。
・ピンコロ石の高さと施工方法を詳細に決めた。
試験は平成25年11月7日に行いました。
長崎市クリーンセンターをお借りして、これまでの三和バリアフリー歩道の開発に関わっていない多くの視覚障害者、車いす利用者の方々に歩いてもらい歩道の機能を確かめました。
次のブログは試験舗装の施工について更新します。

January 8, 2014
ピンコロ石の高さと施工方法について【三和/行徳】


ピンコロ石は9cm×9cmの割肌仕上げのものを使います。
【ピンコロ石の高さ】
1,去年の調査結果
去年は歩行調査とピンコロ石の高さ測定をしました。
①歩行調査の結果、ピンコロ石について、車いす利用者にとっては誘導用ブロックよりも走行しやすく、視覚障害者にとっては足裏・白杖ともにピンコロ石を認識できるという意見でした。
また、コンクリートとインターロッキング舗装の粗さの違いについて、視覚障害者は分かりにくいという意見でした。

②三和町に施工されているピンコロ石の高さを約30m分ノギスを使って計測した結果、コンクリート・インターロッキング舗装から凹凸の最大高さまでは平均して6.0mmという結果でした。
三和バリアフリー歩道は、線的に誘導する誘導用ブロックの凹凸(5mm)が車いす利用者にとって障害になるので、左右に違う舗装材を用いることで面的に視覚障害者を誘導して、車いす利用者も走行しやすい歩道を考えるという取り組みです。
去年の歩行調査の結果を振り返ると、視覚障害者はピンコロ石を誘導用ブロックの代わりとして歩いている状況で面的な誘導はできてなかったと考えられます。
2,今年の試験舗装の設計
今までの経緯と今年の設計の見直しを踏まえて、以下の点について考慮しました。
①ピンコロ石はもともとコンクリートとインターロッキングの粗さの違いだけでは認識できないかもしれないので補助的に設置したという経緯。
②コンクリートとインターロッキングの粗さの違いを大きくなるようなインターロッキングを選択したこと。
③誘導用ブロックのJIS規格の高さが5mm(+0〜1mm)であること。
④ピンコロ石を足裏や白杖で認識する要因はピンコロ石の高さでは無く、表面のランダムな凹凸である予想されるので、ピンコロ石の高さは5mm以下でも大丈夫だと考えたこと。
そして、以下のように設計図を作成しました。

【ピンコロ石の施工】
施工は、これまでの現況の歩道、試設計、唐津の水産埠頭線の施工手順を参考にして、ピンコロ石から先に施工してインターロッキング、コンクリート舗装をつくるやり方にしました。

January 5, 2014
車いす利用者による溝切りインターロッキング(アートスルー)のテスト【三和/行徳】

車いす利用者に配慮して開発された溝切りインターロッキングですが、本当に車いす利用者の走行に問題が無いのか調査をしました。
その結果、溝切りインターロッキングを販売している会社では、加速度計を用いて振動が小さくなることを定量的に試験しているのですが、実際に車いす利用者に走行してもらい意見をもらっている試験があまり行われていませんでした。
そこで、視覚障害者の野口さん、坂丸さんから一番評価が高かったアートスルーを使い、実際に車いす利用者に走行してもらうテストを10月12日に行いました。
今回は九大伊都キャンパス近くの糸島市社会福祉協議会あごらに協力していただき、車いす利用者5名に90cm×120cmの舗装の上を走行してもらいました。

車いす利用者に走行してもらう際に、課題として予想されたのは以下の2点でした。
①進行方向と垂直にある溝を横断する際に振動は不快でないか?
②進行方向と平行にある溝に車輪がとられて方向転換しにくいことはないか?


調査の結果、5名とも①、②ともに問題無いという意見をいただきました。
また、アスファルト舗装と比較しても良い評価でした。
視覚障害者と車いす利用者によるテストの結果より、既成品の中で視覚障害者が一番コンクリートとの違いが分かりやすく、車いす利用者の走行にも問題無い溝切りインターロッキングの「アートスルー(太平洋プレコン工業)」を三和バリアフリー歩道の試験舗装に使用することにしました。
試験だけでなく、車いす利用者の日常生活で問題に感じているところやデイサービスについても教えていただいたり、実際に見ることはとても勉強になりました。
試験に協力していただいた方、あごらの職員の皆さまどうもありがとうございました。

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