風景と地域づくりの
出会いと発見DIARY
景観研究室は、プロジェクトや研究を通じて、九州各地の風景・地域づくりに取り組んでいます。地域の人達と未来を語り合う、デザインについて現場で喧々諤々議論する、素敵な風景や食文化を見つける、地域の人達との長いお付き合いが始まる…風景・地域づくりの中で、たくさんの出会いや発見、感動が生まれる毎日。そんな景観研究室の日常をお伝えしていきます。
March 31, 2013

救命浮環②救命浮環表面印字のデザイン【唐津/平野】

【救命浮環表面印字のデザイン検討】
救命浮環表面の印字および帯デザインの検討では以下の2点を考慮しスタディを行いました。
①緊急時に周りの人が救命浮環にすぐに気付くデザイン
②唐津東港の空間に馴染むようなデザイン
救命浮環表面に印字する文字のフォント、大きさは浮環のデザインに大きく影響します。まずは参考事例を見つけるため、インターネットを使って救命浮環の事例写真を集めることにしました。国内の写真事例で参考になりそうなものは長崎水辺の森公園設置された浮環くらいしか見つかりませんでした。国内に設置されている救命浮環の多くはオレンジ色の市販品が多かったです。そこでキーワードを「lifering」として海外の写真を検索すると多くの事例が見つかりました。また、文字のフォントを検討するために海外のサイトも利用して多くのフォントを集めました。収集した事例写真、フォントを参考にデザインスタディを行いました。
デザインスタディでは、九大で注文した救命浮環を白く塗装し、文字、帯を用紙に印刷して切って浮環本体に貼り付けました。

スタディからフォント、文字の大きさ、帯上のラインの太さによって救命浮環の印象が変えることがわかりました。線が太くなると救命浮環の文字、ラインの赤色が目立ちます。線が細くなると救命浮環の文字、ラインの存在が控えめになります。
設置する救命浮環は、東港の空間に馴染むデザインにしなければならなりません。東港の空間は風景を楽しんでもらう必要があるためには、自己主張の強い浮環のデザインはそぐわないと考えました。 よって、救命浮環のデザインは、フォントは控えめで、線も細くすることにしました。
■色
文字、ラインの色を「べんがら色」にしました。一般的な救命浮環は白地に赤の帯を採用しているため、検討する救命浮環も白地に赤系の色を使うこととしました。
べんがら色は赤系の色であり、また唐津焼きの色として唐津に馴染みがあります。唐津の雰囲気に合う色として水産加工場にも採用されており、唐津東港の雰囲気に合う色として採用しました。
■フォント
存在感が控えめフォントを選びました。また、採用したフォントは和欧混植時の和文と欧文の並びを重視して作られた「Axis Condensed Joyo R」というフォントです。唐津東港の欧米文化が入ってきた時代のイメージに合うと考えて採用しました。
■ライン
スタディでは救命浮環の帯にラインを入れることを検討してきました。ラインは自己主張がないように細くしていましたが、救命浮環を止め具に設置した際に、ラインはあってもなくても印象があまり変わりませんでした。むしろラインがない方が救命浮環の見た目が落ち着いて見えました。救命浮環は常時止め具に設置されているものであるため設置されているときの見え方が重要です。また、ラインはスクリーン印刷で印刷することができず、ライン入れは手書きで行うことになるためその分費用が増します。
ラインをなくした方が落ち着いたデザインになる点と、ラインをなくすことでコストが下がる点から、ラインは入れないことにしました。

上図、左が2009年のデザインで、右が最終案。控えめなデザインになっていることがわかります。
そして、最終的に、線の太さ、文字の間隔を調整し、最もバランスの良いデザインを検討し、デザイン案を決めました。

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