風景と地域づくりの
出会いと発見DIARY
景観研究室は、プロジェクトや研究を通じて、九州各地の風景・地域づくりに取り組んでいます。地域の人達と未来を語り合う、デザインについて現場で喧々諤々議論する、素敵な風景や食文化を見つける、地域の人達との長いお付き合いが始まる…風景・地域づくりの中で、たくさんの出会いや発見、感動が生まれる毎日。そんな景観研究室の日常をお伝えしていきます。
October 28, 2011

風景デザインサロン(虎居地区)【行事/平野】

10月28,29日に第25回風景デザインサロンに参加しました。
テーマは川内川檄特事業で虎居地区、曽木の滝地区に行きました。
川内川は平成18年の記録的な豪雨により甚大な被害を出しました。今回見に行くのはその災害復旧のための事業です。
1日目は虎居地区です。
ここは増水したとき流れをショートカットさせるため、山を掘削して推込分水路をつくりました。

川内川の川沿いです。
ずっと石積みされています。
これらの石は分水路を掘ったときに出てきた地場のものを利用しています。
石積みは石工さんが現場の人に指導して積み上げたそうです。
石積みの技術を後世に伝えていくためにこれからの土木事業ではこのように積極的に石を使っていく必要もあると思いました。
また直線的にならないよう川の流れのように曲線を描いています。

分水路の部分です。
堰を用いているのは、ある水量を超えるまではショートカットに水が流れないようにするためで、川の環境をギリギリまで変化させたくないという考えからできたものです。
堰にも石が使われていて周りとの一体感を出しています。
ここを越流した様子もみてみたいです。
分水路の近くに行きました。

遠くから見た印象よりも、実際にその場に立つと石は大きく石積みも高く、そのスケールの迫力に圧倒されました。
この辺りは城の石積みが連想させられました。
トロッコ倉庫の作業で、自分の手で地面を掘ったり、掘り出した土や石を運んだりの現場の作業を体感したことで、城の石積みを見ると、昔の人はこんな大きなものを人力で作っていたことを思うとどれだけ大変だったことか、と考えるのですが、
今の時代でもそれを彷彿とさせられるものができるんだなぁと思いました。

石が綺麗に敷かれていて、石のステージのように思いました。
分水路の広いスペースをイベントに利用できないかとまちの人たちも考えているそうです。
地元の人たちは平成18年の洪水の恐怖があり、本当に安全なのかという不安な気持ちが一杯なのを感じました。
その不安をなくすものを作り上げるため、島谷先生たちはワークショップを重ね、大規模な模型実験を行うことによって、住民が安心して暮らせるように工夫を重ねていったことを感じました。
また、時間が経ち、川の流れが地に馴染み、石積みに植生ができてくることで、これからこの川の風景が形成されていくんだなぁと感じました。
住民が安心して暮らせるようになる頃には美しい風景ができ、川がまちづくりにつながっているような気がします。
また、そこに住む人が快適に川を利用することは勿論ですが、これから時間が経ったときに、この川が観光につながってまちが自立できるように考えて石積みなどのデザインを考えたと聞き、まちの事情も考えた上でのデザインの必要さを感じました。
激特事業という時間が短い状況で防災に加え、景観やまちづくりについても取り入れた事例ですが、こういったスケールの大きいものに対する景観に対して骨格のデザインという考え方があって、ディテールにこだわる考え方とは違うことを学びました。

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