風景と地域づくりの
出会いと発見DIARY
景観研究室は、プロジェクトや研究を通じて、九州各地の風景・地域づくりに取り組んでいます。地域の人達と未来を語り合う、デザインについて現場で喧々諤々議論する、素敵な風景や食文化を見つける、地域の人達との長いお付き合いが始まる…風景・地域づくりの中で、たくさんの出会いや発見、感動が生まれる毎日。そんな景観研究室の日常をお伝えしていきます。
January 15, 2009
打ち合わせ 【嘉瀬川/筒井】

昨年末、今年にはいって一度打ち合わせが行われ、
今回は本ダム、副ダムの残りの工期の中でデザイン検討ができるか
図面をみながら議論をしました。

本ダムはすでに堤体が半分近くできあがっているので
できることは基本的にはゲート操作室といった
ダムの上部に出来上がるものが基本になります。
しかも、大きく構造を変えることができないので、
仕上がりの形状の工夫を行っていくことになりそうです。
細かいことだけれど大切なことです。
副ダムについては管理用道路を通す箇所の一部に
平場ができるのでそこを訪れた人にとって公園となるようにつくる提案をします。
副ダムの堤体で使いたいと提案し、事務所の方々が探してくれた玉石を
ここに使おうという案も出ました。
今後は確認した項目について提案を行っていきます。

January 15, 2009
文化的景観という概念をめぐって【五島/渡邉】

五島プロジェクトでは、「その3:研究活動」も盛んにおこなわれています。
そのひとつとして、1月9日に「九州の離島における地域連携による文化的景観の保全・継承」というタイトルでシンポジウムが開催されました。
文化的景観の調査や教会の建設・維持に関わる研究者たちが集まり、それぞれの事例の中で得た成果や感じている問題意識を持ち寄り、討議する場となりました。

議論は、文化的景観の価値評価や維持の方法論にとどまらず、「文化的景観の意義」を問う内容が中心となりました。
ともすれば、文化的景観の議論は、「昔がいいから昔に戻そう」とか「田舎は素晴らしい、絶対守りたい」みたいなところに陥ってしまう可能性があります。だけど、「景観が美しいから」という理由で人の暮らしを制約するようなことはあってはならないと思います。「地域が生きていくために景観を維持したい、だから暮らし方も維持していかなければ」という論理は成立するように思いますが。考え出したらキリがないです。
「専門家ができることは何か」という議論の最後に、大阪大学の小浦先生が「地域のシステムを理解し、地域ごとの選択を提示すること」とおっしゃっていました。
田舎は本当に情報がないところが多い(田舎がだめ、ということではありません。私も田舎で生まれ育ったから、よくわかる。情報が本当に入ってこないんです。)。今までまちづくりに取り組んだことがない地域では特にそうです。情報がないから、その地域がどのように生きていくか、みんなでこれから頑張ろうとするか、についての判断を正確にできない。一方、専門家は地域の生き方の判断を一人でしてはいけないし、することはできない。
だから、「その地域の昔からのシステム(生き方)を理解し、その地域の現状を冷静に見つめた上で、今後その地域がとりうる選択肢を提示する」ということが、専門家の役目ではないかというご発言でした。
地域のことを真摯に想う専門家たちの真剣な議論の場に居合わせることができたことを幸運に思いました。
文化的景観をめぐる議論や実践は、今後多くの成功や失敗を生み、様々な試行錯誤の中で成熟していくのだと思います。私もその過程の中に、何かの形で関与していきたい、と改めて思う1日となりました。

January 14, 2009
集落の構造【五島/渡邉】

M1の渡邉です。

これは、五島市福江島の宮原の集落の風景です。
山間のわずかな平地の中に、水系に沿って住居や田んぼ、畑が構成されています。
現在、下五島のキリシタン集落における文化的景観の調査中です。
下五島のキリシタンは移住や迫害といった様々な歴史の中で、信仰を守りながら、五島で暮らし続けてきました。信徒の方たちの暮らしに思いをはせながら、集落の構造を読み解くこと、そしてその価値を証明すること、を、文化的景観の調査の中でしています。

これは、かんころ台。九州の人ならご存知、かんころもちを作る作業の中で使われる道具です。
さつまいもを輪切りにして蒸したものを、家族で干しています。
集落の構造、なんていうところにはとても疎かったのですが・・・。
「地域における思想や営みがあらわれている風景」が好きだなぁ、と思っていた私にとっては、出会えて幸せなプロジェクトです。
大学院を卒業する頃までには、「なんかいいよね」じゃなくて、ちゃんとその価値を語れるようになりたいし、その維持のために何ができるか、ということを考えられる人間に一歩近づきたいな、と思っています。

January 14, 2009
五島プロジェクトのご紹介【五島/渡邉】

M1の渡邉です。
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします!

・・・・美しい。
五島に着くと、この鬼岳が私たちを迎えてくれます。
3年に1度の野焼きによって維持されている風景です。熊本の阿蘇と同じです。
さて、7月から、研究室では五島プロジェクトが動いていました。
長崎県の離島、五島です。
五島のプロジェクトは大きく3つに分かれます。
その1:五島市景観計画の策定
その2:五島市文化的景観の調査
その3:五島研の活動
盛りだくさんです。
しかも、五島プロジェクトは樋口研だけでなく、複数の研究室でおこなっているんです。
九大樋口研(景観)、福大柴田研(景観)、鹿児島大学木方研(建築)、九大芸工福島さん(文化財)
という豪華メンバー、です。おもしろくないわけがない・・・。
その1:五島市の景観計画については、現在は、五島市民のみなさんと景観計画の内容について検討している段階です。WS形式で、意見をもらっています。
遡ればいろいろ語るべきことはありますが、簡単に言えば・・・・。
とにかく、五島市がより良く長く続いていくための計画になるように、と考えながら、みんなでがんばって取り組んでいるところです。

January 14, 2009
続・もっくあっぷ【勘六橋/筒井】

今日もモックアップつくっています。
今作っているのは歩道になる部分です。
これまで住民WSで話し合われた案では
石舗装だったので、この上に石舗装のテクスチャをつくって貼付けます。
毎日のようにインパクトドリルを使うようになって
すっかり使いこなせるようになりました。

モックアップを製作している様子は
これまで何度も紹介していますが、完成形がまったく予想できないと思います。
完成するとどうなるかは後日ご紹介します。

ENTRY
CATEGORY
ARCHIVE